「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

SENSE

SENSE/Mr.Children
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12月1日発売されたミスチルのニューアルバム。まさに待ちに待ったニューアルバムだ。

入っている曲でCD化されたことのある曲は一曲もない。

『365日』なんてNTT西日本のCMに起用されたのはもう一年前じゃないか!一年間CMで流れるってすごいなあ。

もうすでにアルバム通しで15回は聴いているから感想を持っていもいいころかと思う。

名盤っていうのは聴かれ続けるから名盤なのであって、発売して5日で、これは良いとか判断できるのか、分からないけど、最初の印象を言いたい。

① I

一曲目からかなり重い。虜とかアンダーシャツ、MONSTERの流れを汲む一曲。でも、メロディはものすごくキャッチー。「死にたいとか言いだすんでしょ」という言葉をメロディに乗せちゃうところは、さすが桜井さんだと感心してしまった。自分を悲観する一次元上の自分、それを皮肉で茶かすその上の自分の視点の歌だ。

②擬態

メロディの明るさは最近のミスチルっぽい。PADDLE、箒星とかエソラ系の様な気がするけど、詞は甘くない。これもまた厳しい。でも、カッコいい。

③HOWL

Aメロはキャッチーだけど、サビがいまいちかなぁという印象

④I'm talking about Lovin'

このアルバムで唯一軽い可愛い感じの曲

⑤365日

もう、日本の音楽界で、衝撃的なサビで感動する曲なんてできるんだろうか、と思っている時に初めて聴いた。まさに衝撃だった。素晴らしい。今までの名曲達と見劣りしない圧倒的存在感を放つ珠玉のバラードだ。

ただ、編曲が荘厳すぎる感じがしないでもない。もっとアコースティックなサウンドにしても良かったし、ライブの時みたいに声が出ないけど必死に歌う桜井さんのボーカルでも良かった。間違いなくこの2年間で聴いたどんな曲よりも最高の一曲だと思う。

⑥ロックンロールは生きている

かっこいいフレーズを中心に使う構成。まさに古き良きロックンロール。カッコいい。

⑦ロザリータ

尾崎豊のロザーナを思い出してしまう。ちょっとマイナー調のバラード。

⑧蒼

最初の一節が良い。ぐっと来る。Mr.Lonelyの最初の一節が印象的だったと桜井さんは言っていたけど、それを目指してたのだろうか。サビの悲しい叫びも胸に突き刺さる。今まで、こんな内省的なバラードってなかったんじゃないかな。ミスチルの新たな歴史が始まるような予感。

⑨fanfare

シングル扱いくらい有名な曲だけど、実はあんまり好きじゃない。

⑩ハル

綺麗なメロディ、優しい歌詞。40代になる桜井さんが今だから作れた一曲。

⑪Prelude

サビの流れ方がめちゃくちゃカッコいい。すごく良くできている。颯爽と走りぬけるメロディに希望に満ちた歌詞。シャウトの仕方も良い。

⑫Forever

アルバムの締めくくりに相応しい。大きな愛のテーマ。どんな映画でも最後にこれを流せば名作になりそうだ。

後述するけど、この一曲がミスチルの新境地を象徴している気がする。

全体的に内省的な曲が多いという印象。というかもともとミスターチルドレンっていうのはそういうバンドだった。

最近『HOME』『SUPER MARKET FANTASY』の流れが、「世界は愛に満ちている、もっともっと人生を楽しんでやれ」という雰囲気だっため、忘れていただけだ。

ライブへ行くとミスチルの古い曲から今の曲まで、似ているコンセプトの曲を繋げて聴ける。深海の頃からの重厚なテーマの曲が続くと、せっかくのライブでも泣きたくなるくらい気分が沈んでくるのだ。

なんで、こんなにも人間の暗部を鋭く抉り続けるバンドが国民的バンドなのかが分からなくなる。

もっとハッピーでポップな歌ばかり歌うバンドがあるだろう。

ミスターチルドレンって聞こえの良いことばかり歌う人たちじゃないよ?かなりリスナーを突き放すような瞬間もあるし、人間を絶望しているんじゃないか、って思えるようなことも歌うよ?

だがしかし、そのスタイルで万人に受け入れられているから理由を語る言葉が僕には見つからない。まだミスチルを聴く様になって5年もたっていないから、もう少し経てば分かるだろうか。

ただ、一つ思うのは「人間に対して真摯である」ということかもしれない。

今回のアルバムもそれはひしひしと感じた。

『深海』 『BOLERO』→『Discoverry』『Q』『It's a wonderful world』『I love U』→『HOME』『Supermarket Fantasy』

の流れがあるとすれば間違いなく、

→『SENSE』

だと思う。

人間愛、人生賛歌を突き抜けた先を見越す試みがこのアルバムにはある。

内省的と言っても『深海』とは違っている。また人間の暗部を抉りだすような試みであるならば『Foever』は歌えない。ここまで大きな愛を歌えるのは『深海』で人間の醜さと向き合った後『HOME』で小さな幸せを歌ってきたからだと思う。

次のシングル曲がきっとものすごく重要な意味を持つ。

たぶん、僕らを驚かすような一曲を持ってくるに違いない。

もうミスチルを超えられるのはミスチルしかいないんだから。