「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

サザンオールスターズの最高傑作『さくら』

サザンオールスターズが再始動し、ニューシングルを出しました。相変わらず、あまり振るわない感じの出来なので、真のサザンの復活へ願いを込めて、サザンオールスターズの最高傑作であり、日本のロックンロール界に燦然と輝く伝説のアルバムを紹介したいと思います。

レコーディングに1年半、3000時間をかけたという、練りに練られた音の玉手箱です。サザンの中ではあまりヒットしていないアルバムのうちの一つですが、はっきり言って、このアルバムを頂点として、サザンは勢いを失ったと思っています。

1、NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH

アルバム一枚目、イントロからいきなりヤバい。超無骨なハードロックチューン。超カッコいいのに、歌詞が”赤いビニール繊維”。もう完全に歌詞の意味なんてどうでもよくて、音感のかっこよさだけで成立している桑田佳祐のアートの世界。桑田佳祐のシャウトと歪んだエレキギターの相性が神がかかっています。元々、こういうハードロックに向いている声だったんじゃないかと思うほどです。最後のNONOYEAHGOGOYEAHの連発は鳥肌立ってくるくらい気違いじみてカッコいい!

2、YARLEN-SHUFFLE〜子羊達へのレクイエム〜

これもまた危険な香りたっぷり。英語っぽい響きなのに、社会を皮肉に風刺している妙技。Aメロもサビも超独特、他の追随を許さない、スーパー桑田ワールド。この時は本当に桑田さんのセンスはぶっちぎってましたね。"跳梁跋扈す系譜をみ"、と、"祭壇の前に立ち笑いをこらえて泣いてた"、という歌詞に度肝を抜かれたのを覚えています。こんな洒落た歌詞を、こんなにカッコいいメロディに載せられる人は桑田サンしかいない。片っ方でカタカタなっているエレキギターもカッコいい。

3、マイフェラレディ

もう説明不要。誰得なんだよっていう曲。でも、あいつもこいつも綺麗な顔して歩いてやがるが、みんなしてやがんだから、そんな歌あったっていいじゃねえかっていう桑田サンの声が聞こえてきそう。

4、LOVE AFFAIR 〜秘密のデート〜

ここにこの曲が入ってくるのが、只のロックアルバムにさせないサザンオールスターズの真骨頂。夜のテーマパークみたいな伴奏も素晴らしいし、Aメロの流れるようなメロディからBメロの急かす雰囲気に入っていくのはリミットが迫ってくる男女の焦りを見事に表現しています。そして、超有名なこのサビ!一発で頭に残るし、いつ聴いても、すんごくロマンチックで切ない気持ちにさせてくれます。間奏のサックスもカッコいい、コーラスも雰囲気をもり立てる。サザンオールスターズのポップスの良さが全て詰まっています。みんな大好き。

5、爆笑アイランド

また、”さくらワールド”に帰ってきました。社会風刺ハードロック。ヘンテコなAメロからのサビの耳障りは随一!歓声を入れたり、演説ラップを入れたり、もうやりたい放題なのに、完璧にロックンロールとして成立させている神懸かり的な一曲。

6、BLUE HEAVEN

この一曲があるから、”さくら”が最高傑作であると言ってるのかもしれません。サザンの曲で一番好きです。冬が終わり、春が来る頃、いつもこの曲の最初「温かな風に乗り君が降りてくる」という歌詞を思い出します。私の春はいつもこの『BLUE HEAVEN』が運んできてくれます。歌詞の内容は夏の切ない失恋なのですが、あまりに爽やか過ぎて悲しさを通り越して清々しい。なにより凄いのがコード進行。G調なのに、サビがD。こんな曲、他にある!?こんなコード進行の曲私は知らない。唯一無二の見事なメロディライン、超綺麗、超切ない、でも超清々しい。

7、CRY 哀 CRY

飛び跳ねるようなリズムの中に粘っこいメロディをのせるこのセンス。そして、突然嵐の様に来ては去っていくサビ!なんじゃこりゃ。この一曲の中にいろんな季節があるようで、映画を見ているようでもあるし、気の狂った人と喋っている様な気分にもなる。聴いている人の情緒をかき乱す、恐ろしい力を持った楽曲です。

8、唐人物語

一転、はらぼうの綺麗なバラード。この曲と桜の相性は異常。毎年、花見の時に聴きます。

9、湘南SEPTEMBER

これぞサザンっていう夏のバラードです。実は湘南って歌詞はこの曲でしか使われていないんだとか。桑田サンは茅ヶ崎の人であって湘南ではないから??その辺は『稲村ジェーン』の台詞でありましたね。サビは一段低くなるのですが、それでもキャッチー。

10、PARADISE

ようやく美しいバラードに心が洗われたところで、来ました最強最悪キワモノ楽曲。Aメロもダンサブルでカッコいいし、Bメロも怪しい雰囲気でカッコいい、サビはネチネチしつこいけど、すんごい耳に残る。あれ、普通のお洒落な曲じゃねえかと思って、よく聴いてみたらテーマは完全に『核』です。そう、核戦争、核爆弾の『核』。こんなのこんなにダンサブルに歌っちゃう?はらぼうの語りからが怒濤のラッシュ。GET IT ON でスイッチ入っちゃう。I KNOWの連呼はもはや神聖な雰囲気さえする・・・最後の歌詞は風刺が効き過ぎて寒気がする・・・・。サザン史上、最恐の曲です・・・。

11、私の世紀末カルテ

吉田拓郎風のフォークソング。よくここまでのバリエーションを一枚のアルバムに盛り込んだな、本当に。内省的で暗い歌です。どん底のブルースに似てます。

12、GIMME SOME LOVIN'〜生命果てるまで〜

エロティカセブンと同じ系譜ですが、ここまでキワモノぞろいのアルバムの中では一番影が薄いかもしれません。

13、SEA SIDE WOMAN BLUES

情けない男の失恋ソング。これも素晴らしい。これぞ桑田佳祐!作曲のお手本のような綺麗なサビです。フラれた男の応援ソングです。

14、01 MESSENGER〜電子狂の詩〜

14曲目でさらに、この曲をぶっ込んでくる力量に感服。ふつうここまでヘビーなロックは一枚のアルバムに一曲くらいで良いのです。でも、これで7曲目。しかも今までの曲を全部吹っ飛ばすくらいのインパクト。サビのハチャメチャな音の洪水は人間の思考を錯乱させます。JAZZYでもありテクノでもあり、桑田佳祐の音の拘り全部パック。聴き終わった貴方は廃人になっていることでしょう。

15、素敵な夢を叶えましょう

・・・なにこれ・・・・ここまで精神を揺さぶっておきながら・・・頭を狂わせておきながら・・・最後にこれで締めてくれるのですか・・・。 説明不要のサザンオールスターズ最高傑作。日本ポップス史上、最高の一曲です。

気分的には散々DVされたけど、最後は本当に優しかったから良かった、という感じでしょうかw 言い過ぎましたw 本当に素晴らしいアルバムです。 ロックにもポップにも、冷静にも情熱にも、どちらにも振れ幅MAX、音楽の広辞苑と言っていいアルバムです。