「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

NOT AT ALL / CHAGE&ASKA

CHAGE&ASKA復活コンサートを待ちわびていたら、ASKAが一過性脳虚血症の疑いがあるとのことで、延期になってしまいました。ファンとしては非常に残念だけど、一日も早く良くなっていつまでも歌い続けてほしいです。ASKAのコンサートのことは書いたことありますが、CHAGE&ASKAの音楽性の素晴らしさについてはまだ語っていなかったので、この機会に紹介したいと思います。

CHAGE&ASKAってデビューから30年経ってますが、彼らの出す音楽はいつも最新のトレンドを意識したものになっています。それは流行にのっかるとかじゃなくて、作品作りの志向の話です。レコード➡CD➡MP3と音楽の媒体が変わっていった時、当然、人が求める音楽の聴き方も変わってくるわけで、そんな変化に絶えうる作品とはどんなものか、ということを意識した音作りになっているのです。レコードを上から順番に聴いている時代は、曲順を意識してストーリー性を持たせないといけないし、CDを持ち運んで聴ける時代になった時はどんなシーンにも相応しい音楽をちりばめようとするし、一曲一曲を切り取ってダウンロードされる時代になった今、どの角度からもCHAGE&ASKAとしての立体感を持たせないといけない。そういう時代の要請、というか外部環境の変化に順応しながら、常にファンの度肝を抜く作品を出し続け、魅了し続けているのが彼らです。

このアルバムはMD全盛の時代に発表されたものです。当時CDを借りてMDに録音して、名前を手で入力していた人も多いかと思いますが、あれがめちゃくちゃめんどくさい。でも、このアルバムはMDに録音した瞬間、名前も同時に記憶されてめちゃくちゃビックリした覚えがあります。今となっては当たり前の話ですが、当時はものすごい先進的な作品だったのです。さて、曲自体も素晴らしい。

1、not at all アルバムタイトルにもなってるくらいなので、なるほど素晴らしい。ASKAらしい壮大なメロディと大人の力を感じさせる歌詞、勇敢なギターソロ、全てが完璧なミディアムロックです。

2、ふたりなら 『終章』、『夏の終わり』、『レノンのミスキャスト』と伍するCHAGEのバラード最高傑作の一つです。サビのゆっくり階段を上がっていく様なメロディは癖になります。

3、鏡が映したふたりでも ASKA,CHAGEそれぞれが曲作りしているのでタイトルが似通った曲が並ぶこともある、それがチャゲアスの醍醐味の一つです。これはASKA作詞作曲。アコースティックギターアルペジオがうっとりするほど美しい。最初からAメロの最中も鳴り続けているのですが、聞き惚れてしまいます。Cメロの”愛する人を愛したいだけ、愛せる日まで愛してみる”という歌詞はこれ以降のASKAのキーワードになっています。LiveのMCや他の曲でつぶやく言葉も、この歌詞とリンクしていたりします。

4、アジアンレストランにて これぞCHAGEロック!!クセだらけ、髪でいったら天然パーマ、香辛料でいったらパクチー、なんだかネチっこくまとわりついてゾワゾワするんだけど、決めるてくるところはメチャクチャカッコいい!!

5、パラシュートの部屋で シングルカットされた爽やかなラブソング。チャゲアスのこういう勢いは『SAY YES』や『LOVE SONG』の時から全く色あせない。"君と僕の〜♪"をこのメロディに載せたのは、まさに天才の発想ですね。奇跡のワンフレーズだと思います。Cメロの最後の音は、高音のドの1オクターブ上のシ!!恐ろしいAKSAの音域…。

6、凛 ギターと二人の声だけで録った小さなバラードです。

7、C-46 リメイクされドラマ化もされた名曲中の名曲。楽しかったあの頃を風景や音楽と一緒に思い出してしまう時ってありませんか、そんな切なさを歌詞に載せて、そのままメロディにしてしまったような曲です。何度聴いても、感情が溢れ出して胸がつまってしまう。2番のサビはCHAGEが3度下でハモって落ち着いた切なさを演出していますが、3番のサビは3度上でハモって、より直情的な切なさを表現しています。職人芸です。スライドギターというチョイスも粋ですね。

8、夢の飛礫 CHAGEのバラード。これもすごく凝ったコード進行をしていて、何でこんなにあっちこっちいったりするのか常人には理解できないレベルですが、きちっとまとまっているのが凄い。

9、ロケットの樹の下で もはや説明不要の名曲。Bメロの運びがものすごくカッコいい。サビのベースラインも凝ってます、 D➡F#ときたら普通Bmに行きたいですが、その流れを拒否してGに飛びます。流されることなく自分の気持ちをつらぬこうという意思とこのコード進行がうまく重なって、奇跡の調和を生み出しています。

10、告白 最後はCHAGEの静かなラブソングでしめくくり・・・。雨上がりに濡れたレンガ道を歩いて家を帰るような、なんだか懐かしくてホッとする優しい曲です。ASKAのハモりも凄い存在感ですが、この曲ではそれが良い立体感を生み出しています。

CHAGE&ASKAの凄さは語りきれないですが、一度強調しておきたいのはその声の広さ。どちらも上、下、どちらのハモりもうまく響くのです、ゆずは、高い方低い方決まってるでしょ。CHAGE&ASKAは曲に応じて、さらには曲中で表現したい方向に応じて、二人とも、上下どちらにもハモれるので、表現の幅がものすごく広い訳です。最強のデュオたる所以はここにあるかもしれません。