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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

君のためなら千回でも

まずタイトルが素晴らしいですね。『君のためなら千回でも』、ひた向きさ、力強さ、不器用さ、優しさが溢れてくる言葉です。

アフガニスタンに住む富豪の息子と召使いの息子の友情と再生の物語です。全てをかけて友情を注いでくれる才気溢れる召使いの息子ハッサン、イケメンだけどどこか頼りない主人公アミール。ある事件をきっかけにアミールはハッサンを避ける様になり、とうとう窃盗事件をでっち上げてハッサン親子を追い出してしまう。時は流れソ連のアフガン侵攻によって、故郷を離れることに成る主人公。四半世紀の時を経て、失った友情を取り戻せるのか、というお話。

以下、ネタバレ含む感想です。 あの日の過ちへの償いへの話としては、主人公の後悔の念が薄過ぎる。どう考えても薄過ぎる。主人公のために身を犠牲にしてくれたハッサンに対して、追い打ちをかけるように窃盗の罪を被せて、それすらも受け入れてくらたハッサンに対して、謝罪の言葉がどこにも出てこなかったのが納得いきませんでした。この物語の肝はそこだと思うのです。甥を命がけで助けるのも素晴らしい友情です。でも、第一にハッサンに対して謝罪し、あの日の過ちを息子や妻に懺悔しないことには、何もかもが綺麗ごとで終わってしまうのです。そこがすごく残念でした。そのシーン。あと5分だけ、主人公がハッサンに想いを馳せるシーンがあれば、完璧に素晴らしい映画になりましたが、その肝心なシーンがないため、駄作になってしまいました。非常に悔やまれます。

ただ、ソ連軍の恥知らずな横暴に対して敢然と立ち無かう父親の姿は映画史に残る名シーンでした。あれだけでもこの映画を見る価値はあるでしょう。めちゃくちゃカッコいいです。あんな男になりたいけど、今の自分では到底なれそうにない。半端じゃないです。