「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

渡部陽一さんの講演会

会社の組合の教育セミナーとして、あの戦場カメラマン「渡部陽一さん」の講演会が開催された。 本当にあのしゃべり方なのか、どんな修羅場をくぐりぬけてきたのか興味津津だったので、迷うことなく足を運んでみた。 第一声から、あの穏やかな美声が会場に響き渡たる。思った以上にゆったりとした喋り方である。 テーマは戦場カメラマンになった理由、戦場の子供たちの生活について、質疑応答の三つ。 1時間半の講演であったがあっという間に過ぎてしまった。 渡部陽一さんの講演を聞いて、知った。講演とは一つの表現技法なのだ。歌や映画やダンスなんかと同じように、自己を表現する技法なのだ。渡部さんの講演内容は文字に起こせば、おそらく原稿用紙10枚くらいのボリュームであった。あのスローテンポだし、分かりやすいように大事なことはさらに時間をかけて繰り返したりもするから、1時間半の講演ではそのくらいの量しか話せないのだと思う。でも、心に残照をもたらすような名講演だったことは間違いない。それは渡部さんが、声の抑揚だけでなく、顔の筋肉を緊張収縮させたり、会場を歩きまわったり、両手を大きく振り回したり、地団太を踏んだり、身体のあらゆるパーツで自分の経験を表現していたからだ。こんなプレゼンテーションのやり方があるのか、と一種の驚きであった。 たぶん、渡部さんの講演スタイルは小学校や中学校で呼ばれた時に身に付けた技法だと思う。言葉も慎重に選ぶし、時にはコミカル過ぎるくらいジェスチャーを交えたりするのは子供たちを飽きさせないためなのだろう。話す内容よりも、話している最中に与える「印象」の方が、人の心に与える影響力としては大きいということを知った。だから、声の響きや、身体技法の多様さ、が非常に重要なのだ。それは講演に限らず、歌や小説、論文、はたまた面接や恋愛にも通じる表現の法則なのかもしれない。 あんなに素敵な大人にあったのは久しぶりだ。 あの容姿、あの喋り方、この表現、この才能、やっぱり自分のやりたいことをして生きている人は、ちょっと普通にはない魅力を持っているなぁ。魅力があるから、やりたいことが出来るのか、やりたいことをしているから魅力的なのか・・・。 最後に、すぐに実践できる渡部陽一さん流、英語の身につけ方。 ①好きな映画を決める ②その映画のセリフ本を手に入れる ③映画と本を駆使して、セリフを全て暗記する そうすると、渡航中に、映画と同じシチュエーションを迎えることがあり、とっさにそのセリフを出して、対応する、という。慣れてくると、少し単語を変えたり出来るようになり、もっと対応できる幅が広がるとか! ぜひ、試してみたいですね。