「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

新卒至上主義について

一応、日記も書くつもりなんだ、このブログ。

今日、思ったこと。

最近、「新卒至上主義批判」をよく耳にするようになった気がする。この不景気で企業が採用数を減らした影響を受けて、大学卒業したのに就職先がない、仕方がなく大学院へ進学する、何も決まっていない、といった学生が増えたからだろう。知識人、ジャーナリストがこれを取り上げて「問題は新卒至上主義」にあると糾弾する文章をよく見かけるのだ。ツイッターとかでもよく取り上げられている。

新卒至上主義のデメリットはたくさんある。

3年生の中ごろから就活をしなければならず、学業が疎かになる。

チャンスが一生に一回しかないため、その年の景気で今後何十年の人生が左右される。

海外留学中は就活できないため、一年留学するためには2年生までに終わらせなければならない。

せっかく取った内定も、取り消しになるリスクがある。

卒業後フラっと海外旅行行ったり夢を追いかけていると、既卒扱いで門戸が一気になくなる。

同じレールにのっかっってきた良い子ちゃんばかりが会社に増える。

転職市場がすごく小さいため、会社をなかなか辞められない。つまり、会社の言いなり。

などなど。

すごーくたくさんデメリットがあるので、ただちに新卒至上主義を放り出し、前世代に平等な機会を!と高らかに謳いたい衝動にかられる。けど、本当にそうだろうか。

じゃあ、いまこの瞬間から新卒至上主義が社会から消え去ったらどうなるかな、と想像してみた。

完全に実力主義で採用されるよ、ってなったら。

その結果どうなるかな。

①雇用はあまり守られなくなる気がする。

入ったばっかりなんだから仕方ないよという甘えは通用しない。実力があるものしか入れないのだから実力を発揮し続けないものは放り出される。少しの間結果を出せなかったものはすぐにクビ。代わりはいくらでもいるのだから。

②辞める人が増える。

実力があればいくらでも会社を転々とできる。だから、自分に自信がある人は今の会社をすぐにやめるだろうなあ。少し、海外留学でもして、スキルアップして良い会社へ移ろう、と思う人が増える気がする。

僕も少し貯金したら海外留学行くと思う。入社3年目以内くらいの社員はほとんどの会社からいなくなるんじゃないかな。学生に戻りたい盛りだから。

③新卒が就職できなくなる。

企業が即戦力を求めるようになるから、ぐだぐだ4年間遊んでいた大学生が就職できる可能性はより下がる気がする。社会に出て10年前後くらいの人が転職市場で一番価値が出るんじゃないか。仕事も一人でこなせるスキルをそろそろ身につけだしているし、これからの成長も期待できるし。

④採用を減らす。

新卒採用なんて3年以内に3割辞めることを想定して取っているわけだけど、実力主義の通年採用ならそんな算段しない。使える人だけ取る。必要な時だけ取る。人員の在庫なんか持たない。窓際族なんかもいなくなる。仕事ができる人たちだけがいるわけだから、「ぐだぐだ会社に残っている訳わかんない人」なんかいない。それでも、必要最低限の人数で最高の結果を出せる。

つまり、①~④全部足すと、失業者が増えるって結果になる気がする。

働く人が減る。働く場所が減る。働く才能のない人が働けなくなる。

今の新卒至上主義は「何の能力も才能もない馬鹿」に働く場を与えてくれるセーフティネットのようなものなんじゃないかなぁ。

僕らの耳に声が届くような知識人やジャーナリストってのは、間違いなく成功者だ。

実力と運で社会の高層部へのぼりつめた人たちだ。

だから新卒至上主義の価値を認める必要がない。

彼らにとっては邪魔だもの。ステップアップを阻害する要因でしかないもの。

でも、実力主義では社会に「必要ない」と拒否されてしまう人間もいる。

その人たちのために新卒至上主義は守られているんじゃないだろうか。

「新卒至上主義をなくせ!」と言っている学生は敗者。セーフティネットにもひっかからなかった。

「新卒至上主義をなくせ!」と言っている社会人は勝者。ネットを突き破ってもっと上へ出たいのだ。

うーん、面白いねじれ現象。