「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

草祭

ホラー3冊目。ホラー界のファンタジスタ恒川光太郎の作品。

『雷の季節の終わりに』を読んで以来、恒川先生の紡ぎ出す静かで美しくも残酷な世界観に心奪われています。

この本は、”美しい山奥”にある”美奥”という街の手前、中、奥、時間軸としては今、過去、未来を行ったり来たりする短編集です

恒川先生が描く世界は時間の流れ方も空気の流れ方も、他の小説とは何かが違うのです。別に特異な場面だけを取り上げている訳でもなく、美しい描写ばかりしている訳でもありません。学校だって行くし、いじめだってある、不倫もするし、人殺しもする。なのに、全てが夢心地というか、美しい霧の中から眺めている様な、そんな心持ちにさせられるのです。

内容は、少し地味ですが、その分、透き通った夢心地の世界観を存分に楽しむことができます。