「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

悩む力

悩む力 (集英社新書 444C)/集英社 ¥714 Amazon.co.jp 新幹線で読む本がなかったので、衝動買いしました。 東京→大阪 間で読めてしまう簡単な本です。 ものすごく簡単な姜尚中の語り口は、小学生くらいを対象にしているようです。すごく頭の良い人なのに、こんな本も書くのかと驚きました。 内容は夏目漱石マックスウェーバーの思想から近代と現代の生き辛さを紐解いていくものです。 悩む力を涵養することを指向した本ではなく、悩みながら生きていくことを背負っていこうよ、と人々を励ますためにかかれた本です。 最後の力に満ちた姜尚中の夢語りはなかなか元気をくれます。 あと、姜さんって、すごく在日にこだわるけど、国籍とか祖先の血って、そんなにアイデンティティに影響を与えるものかなぁ。家族や友人の目は青いのに、自分だけ黒だ、とかなら視覚的に疎外感を感じるのも分かるんだけど、朝鮮も日本も見た目は分かんないし。片親が朝鮮人だっていう人も何も感じず日本人としていきている人もいるし。 うーん、やっぱり、育った環境ですかねぇ。家では朝鮮語を話したり、向こうの慣習に則った暮らしをしていて、でも外では日本人として生きていかなければならない、とかね。それならアイデンティティクライシスに陥るかもしれない。でもそうすると、在日って国や制度の問題ではなく、純粋に家族の問題なんじゃないかと思うのです。はっきり言って、祖先がどこで生まれていようが、どんな血が流れていようが個人を「特別」なものとすることは出来ないでしょ。そんなことで決定されるならそれこそ優生学の危険な思想ですよ。在日を原因に性格的な特性を結論づけるととすれば、それは差別、あるいは逆差別。別に在日だろうが、ハーフだろうが、東京生まれヒップホップ育ちだろうが、出自に個人の特性の原因を求めることは絶対に出来ない。道義的にも原理的にも。 だから、在日だからっていう条件からは何の結論も導けないと僕は思うのです。 ただ家族が異常に国籍や血にこだわっていたから、というのなら分かる。生育環境が性格に影響を及ぼすのは理にかなっていますから。つまり、在日の悩みというのは「親父の酒癖が悪い」とか「母親がうるさい」とか「妹が懐かない」っていうのと同じ次元の家族の問題なのです。特筆しなくてよろしい。そんなの皆あるんだから。 なんか在日の話になってしまったけど、個人的には姜尚中は好きです。