「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

惨劇アルバム

惨劇アルバム (光文社文庫)/光文社
¥650
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引き続き小林先生。 物語は短編に分かれているのだけど、どれも一つの家族をめぐるお話。 娘、母、息子、祖父、父をめぐる異常な世界が展開されていく。 幸福な眺望 何もかもうまくいって幸せ全開のOL。全ての選択が正しく、うまく生きていたと思っていた。 だが、アルバムをみてみると、自分の思い出と写真が一致しない。 そして、幼い頃の自分の死がリアルな体験として記憶に蘇ってくる。 もし、自分の記憶がすべて人に植え付けられたものだとしたら・・・。 幸せなプロポーズも、大学受験も、この記憶は全てたった今植え付けられた偽物だとしたら・・・ 自分自身の記憶と現実を照合しようと奔走するのだが・・・。 誰も信じられない心理戦が恐怖を掻き立てる。 清浄な心象 完璧な子を産むために、ちょっとでも汚れたものに接したら、すぐに中絶する女性の話。 夫婦の議論が中途半端で、小林先生らしくない。もっととことん根本まで男女差別論争を掘り下げてくれるのが小林流なのになぁ。ちょっと残念。 公平な情景 公平をきすために、何でもアリのルールが暴走する教室の集団ヒステリーの話。 先生が馬鹿過ぎて面白い。 正義の場面 死んでから、幽霊として正義の審判を下し続ける老人。。。果たして正体は。 救出の幻影 ・・・よくわからん。 終章 これらの短編を貫いて、最後の謎が解ける、と言う訳ではないけど、最後は最後で、納得する終わり方。 男女や公平の議論なんか、生物学や歴史をもちだして徹底的に議論させたら面白かったと思うけどなぁ。 悪魔の不完全証明みたいに。 これも小作って感じでした。