「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

深夜特急6

深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)/沢木 耕太郎
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インド旅行の最終日に読み終わった。 舞台はヨーロッパ、沢木青年が生き生きしているのがわかる。ローマ、マドリードというのはかくも陽気で旅行者に優しいのか。 バス停で困っていると、必ずだれか優しい人が声をかけてきてくれ、手を差し伸べてくれる。 これは持って生まれた才能としか言いようがない。 旅行者の才能。見知らぬ人に目を描けてもらえる才能があるのかもしれない。 ここまでくると読者の着眼は、旅の詳細よりも、どうやってこの旅を終わらせるのか、に向いてくる。旅の青年期を終え、壮年期老年期を迎えた沢木耕太郎は、この旅をどうやって終わらせるのだろう。 彼自身、ここで終わる訳にはいかない、という確固たる継続の意思を示す場面がある。終わりがあるということは、何か目的があるのだろうか。そして、ついに最終目的地ロンドンへ。 最後は、なんとも滑稽な終わり方である。自分が目指していた終点などなかった。まさに、これこそが旅なのかもしれないな。 インド旅行で参ってしまったせいか、沢木青年と共に世界を見て回った気がしてしまったせいか、読了後、世界一周の旅に出る夢は消えた。 好奇心がなくなった訳じゃない。本で満足した訳じゃない。 自分が求めているものは、いろんな世界を旅してみることじゃないなと分かったのだ。 きっと自分が一番したいこと、それは面白い人生を生きることなのだ。 人生が旅だとしたら、それは世界一周で果たされるようなちっぽけなものではない。 地球は円環だが、人生は無限大である。 人生は旅だが、旅は人生じゃない。 そんなことを教えてくれる本であり、インド旅行だった。