「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

深夜特急4

深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)/沢木 耕太郎
¥420
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舞台はインドからパキスタンイラクへ。 乗合バスで僅かな心の交流があったり、金銭をねだる子供たちを一切拒否してきた自分を省みたりするシーンが少し印象的だった、くらいで特に劇的な物語はない。 旅を続けると無感動になる、というリアルな心象の変化がありありと伝わってくる、という意味ですごい本なのかもしれない。旅になれて、無感動になりながら、日本での社会復帰に一抹の不安を抱く沢木青年。彼の心情の吐露を読み、旅に出る、ということはただ胸はずみ心躍る物語が待っている訳ではないことを知る。旅の中でも、我々は人間の生活をしていかなければならないのだ。旅をしながら、金銭を費やし、身体を浪費していく様は、読んでいる者にも疲労感をもたらす。 老いの苦しみを背負った老人は旅の苦しみを背負うことはできない。 旅は若者にのみ背負うことが出来る苦しみなのである。 まさにその通りかもしれない。 この旅の向こう側には何が待っているのか・・・中東のどこまでも深い青空に問いを投げかけてみるが・・・応答はない・・・。