「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

深夜特急2

深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)/沢木 耕太郎
¥452
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深夜特急の2巻。香港とマカオの熱気から離れ、舞台はマレー半島へ。 香港マカオではものすごいバイタリティを発揮していた沢木青年もタイ、マレーシア、シンガポールでは意気消沈。心が熱くなるものを見つけられず、人々の親切に触れながらも何か物足りない心持のまま日々を過ごすことになる。 すると、自然と内省的なところへ興味移るのか、なぜ彼がこんな旅をする決意をしたのか、その経緯が描かれている。 多分、私は回避したかったのだ。決定的な局面に立たされ、選択することで、何かが固定してしまうことを恐れたのだ。 すごく分かる。誰だってそうなんじゃないか。だから、みんな会社をいつか辞めてやると思ってるし。結婚を決意できないでいる。物事を決めず、ニュートラルなポジションでいることの安心感か、決意を固め、自分の居場所を作り上げていく安心感か、種類は全く違う。ニュートラルでいることで、今目の前のことに精一杯打ち込めるかもしれない。これで終わりだからと毎回思うほど力を尽くせるから。でも、一方で無責任とも言える。こんなの一時的なものだと適当に終わらせることもできる。でも後者はそうはいかない。一生そこに身を置くのだから、長い射程の中で自分の位置づけを把握しておかなければならない。お互いが羨ましがっている関係とも思う。 たぶん、自分は前者だ。しかも前者にするか後者にするか決められない、決めたくない、というスタンスの前者なのであるから達が悪い。 さて、舞台はようやく始まりの場所、インドへ・・・。