「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

爛れた闇の帝国

爛れた闇の帝国/飴村 行
¥1,470
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粘膜シリーズでホラー界をぎとぎとにしている飴村行の新作。 粘膜シリーズではない初の長編かな。 大日本帝国やら憲兵隊やらが登場し、男を拷問しつづけるシーンと母親が同級生の乱暴な男と色欲にまみれるシーンがパラレルに語られる。 前者は粘膜蜥蜴、後者は粘膜人間と似た世界観・・・もう、これ粘膜シリーズで良いんじゃね?粘膜帝国じゃね?とか思ってしまう。 前者は拷問が進行すると同時に、捕えられた男がどんな境遇にいるのか明らかになっていくミステリー調 後者は甘酸っぱい青春と汚らしい大人の世界が融合し、夢の中で前者の世界とリンクしていく。 この2つが融合するからくりは非常に面白く、一気に読んでしまった。 後半まで、ドロドロしておりながら、一縷の光が垣間見える青春物語の様な気がしていたけど、最後の最後に一変した。もう、こりゃダメだわ・・・。みんな終わってるわ・・・。 主人公だけが無垢と正義の徒であり、周りに最低な奴らが集まっているという幻想を一気に打ち砕くラストは、読んでいる者の中にも爛れた闇の帝国が潜んでいることを暴いてくれる。 こういうどうしようもない話は好きだ。 みんな最低な話だけど、最低なんだから、仕方ないのだ。