「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

最終講義

最終講義-生き延びるための六講 (生きる技術!叢書)/内田 樹
¥1,659
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今年で現役を退いた内田先生の最新刊。 勤務先の神戸女学院で行った講義も収録されているけど、いろんな場所でおこなった講義をまとめた構成になっている。 講義という性格上、各講義によって主題が違うし、全体としてまとまったテーマを扱っている訳ではない。 にしても、え、さっき、真逆のこと言ってなかった?という気がしないでもなかった。 修士課程や博士課程の研究発表はいったい誰に向けての発表なのか、と内田先生は批判する。彼らの発表は受信者が理解できるかを全く想定しておらず、判る人に判れば良い、という姿勢である。専門分野に精通した人だけに通じる言葉で、専門分野でのみ役に立つような学術を研究してどうなるのか。アカデミックな人は公共的利益をどう増やしていくかという責任を背負って、フロントラインに立つべきである。という。 一方で、内田先生が師と仰ぐレヴィナスに会った時の話では・・・ほとんど理解出来ない言葉で、3時間ぶっ通しで単行本一冊分の内容を話され、それにいたく感動されたとのこと。学者というのはこうでなくてはならない、と。 後輩の学者たちとレヴィナス老師を隔ているものはいったい何だろう。 熱意?才能?経験?背負っているもの? ちょっと引っかかるとこだった。 本の構成としても、編集の趣味だと思うけど、細かく章立てされすぎている気がした。 読みやすいけど、あまり新しい知見に出会えなかった。