「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

脳髄工場

脳髄工場 (角川ホラー文庫)/小林 泰三
¥620
Amazon.co.jp

小林泰三先生の本は全部読むことにしたので、早速2冊目。 ロジックホラーと直感型ホラーが織り交ぜられた短編集。 脳髄工場 人口脳髄が人間の感情をコントロールしてくれる世界に抵抗しようとする少年の話。 「自由意思」ってなんだろう、と考えさせられる。 物語の最後、全ての感情や行動が予測可能な未来が少年に開示されるんだけど、それを見たことによって、新たな知を手にした少年の行動パターンは変化しないのかな、とふと思った。 それさえ、予想できたとしても、その映像をみた少年は絶え間なく変化を繰り返し、瞬時に別の未来を作り出すんじゃないの?それさえ、予期して計算してしまえるのだろうか・・・・。 友達 意志薄弱の少年が、理想の自分を作り出し、現実を侵食していく話。ああ、ファイトクラブか・・・と思いきや、最後のどんでん返しは圧巻!良く出来たお話だ。 停留所まで 同窓会 影の国 普通に怖い直感型ホラー。こういう理屈抜きの心霊的な話は大の苦手なのだ、やめてくれ。 影の国なんて妙に説得力がある。本当にこんなことあるんじゃないかという気になってくる。 声 未来の自分の声が聞こえるようになり、人生を成功に導く女の話。タイムマシンを使った話って大体、なぁなぁな世界設定を採用されているけど、これは厳密にロジカルに組み立てたお話。この世界はいろんな可能性を生きている自分がパラレルに存在している想定。厳密に言うとパラレルじゃないか、途中で消えるんだから・・・・ 無限に存在するけど、過去を変えた途端に未来が消える世界か・・・。 C市 なにか不気味な対象が世界を滅ぼすという恐怖に包まれた世界の話。こういうの小林先生好きだよねー。 でも、ちょっと消化不良な感じ。何が何だかわからないままほっとかれた気分。でも、これが狙いなんだろうね。 アルデバランから来た男 ショートショート、サクッと楽しめる衝撃。 綺麗な子 犬は散歩もしなくちゃいけないし、うんちもするし、めんどくさい。ロボットなら、ただ可愛い部分だけを取り出せる! 人間って、泣くし、我儘だし、金かかるし、めんどさい。じゃあ、ロボットにしちゃえば良いんだ! という世界のお話。これを突き詰めると残るものは何だ・・・。 ロボット社会を勧める科学文明への警鐘!? 写真 怖い、いやだ。 タルトはいかが? 弟からお姉さん宛てに一方的に出され続ける手紙が紹介される。こいつもオカシイ、世界観もオカシイ。 読み終えてみると、マジで頭おかしい。こんな話よく作るなぁ。マジで頭いっちゃってね? 全体的に、どれも面白い。一瞬にして世界に引き込まれてしまう。本を離せない。 でも、本当に頭狂ってるのかなと思った。 こんなことばかり考えて正常な生活遅れるの? 大天才なのは間違いないけど、振り切れた先に何があるのか、恐ろしくもある。 他の本もすごい衝撃なんだろうなぁ・・・怖いなぁと思いながら、きっと読むのだろう。