「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

エコラム

エコラム/リリー・フランキー
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僕の尊敬するリリー・フランキー先生の新刊。

どっかの雑誌に連載しているコラムをまとめたものらしい。

たしかによくできた話もあればやっつけで描いたような文章もある。

中には凄く考えさせられる話もあったし、くすっと笑ってしまう個所もある。

意外とまじめな人なんだと思ってしまった。文章も出だしは結構堅いし・・・。

一番印象に残ったのは 『あの時』といま というコラム

リリー先生が見た新社会人はまさに自分そのものだ。境遇がそのまますぎて笑った。思っていることも全部言い当てられた。なんでサラリーマンやったことない人にわかるんだろ。自由気ままに生きているようにみえてリリー先生も同じような経験があるのかもしれない。

何も始まっていないモラトリアム期間である大学生。そこには未来への期待と現在の放蕩しかなかった。

ちょっと前まで、あの時の友達と会っても、やはりあの時の話をしていた。

でも、最近はやっぱり、どこか食い違っているというか、回顧している自分を客観的にみている自分が現れたりして、自分にも友達にも恥ずかしくなる時があって、こりゃなんだろうな、と思っていた。

それに伴って、あんまりあの時を思い出さなくなった。

リリー先生いわく、いまはあの時じゃないから当てはめてもぎくしゃくするのだ。

それでもいま 『あの時』しか話題にできない会話を『終わっているオトナの風景』と呼ぶのだ。

あの時に泣くより、今にキック!

思い出に生きるにはまだやれることがあり過ぎる。

未来を確かめながら今もがく方が生きている感じがする。

とまぁ、いろいろ思ったけど、この本のほとんどはくだらない文章だからトイレに置いておくのに丁度良い。

内容もウンコねた多いし。

僕がリリーフランキーのファンになったのは『東京タワー』からではない。

それも読んだけど、はっきり言って全然評価していない。

『東京タワー』くらいの感動ならどこにでもある。それくらいの小説を書く作家は五万といる。

あんまり本を読んだことがない人を中心に売れた本なんだと思う。

もっと面白い小説はいっぱいあるから全くオススメしない。

東京タワーより面白い小説を書く人は五万といるけど、リリーフランキーほどカッコいいオッサンはいないと思う。

NHKの特集か何かで見た。

ふるさとである九州の繁華街でぶらぶらする。

若者たちが「リリーだ!」と言って群がってくる。

そこでリリーが全員を飲みに連れていく。10人くらいいたんじゃないかな。居酒屋とかじゃなくてももっとこじゃれた店だったと思う。

ふるさとへ凱旋帰郷して、リリーに憧れている若者たちを前に、どんな話をするんだろう・・・。

人生訓でも垂れるのか・・・

悩み相談か・・・

質問コーナーか・・・

そこでリリーが放った一言

「それじゃあ、みんなで性の話をしよう」

感動した。

なんかものすごい余裕を感じた。

自分を上位に置くでもなくカッコつけるでもなく、いきなり自分が真っ裸になって全員の剥き出しの心理に語りかけようとする姿勢。

それ以来、すっかり僕の中ではリリー先生なのだ。

僕もいつかは後輩たちを連れてこじゃれたバーへ行き「それじゃあ、みんなで性の話をしよう」と言ってみたい。

そして、そこでめちゃくちゃムキになってどうでもいいことを大声で議論したい。

それが一番楽しそうだ。

そんなリリー先生の本領を一番発揮できているのが小説でもコラムでもなく対談だったと思う。

これが一番面白かった。

リリー・フランキーの人生相談/リリー フランキー
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迷ったらこれを読むことにしている。