「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

悪の教典

悪の教典 上/貴志 祐介
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悪の教典 下/貴志 祐介
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貴志祐介の本は全部読んでいる。

非常に寡作の作家さんなので、毎回新作が出るのが楽しみだ。

毎回、心理学から生き物の生態まで感心するくらい綿密に研究してあるので、寡作な分、一冊の完成度は非常に高いのだ。

それで、今回の『悪の教典』も期待にもれず面白かった。

分厚い本2冊だけど、3日で読み終えてしまった。

理解のある教師を装って女子生徒を調教していく過程なんか最高だ。

完全にサイコパス目線で読んでしまった・・・。

しかし、中盤、一人一人バレないように殺していく様はあんまり計算された殺人という感じがしない。

とりあえず、殺しておこう感が強い。

そこも詰まっていれば、ホラーだけでなく、ミステリーとしても一流の本になったのに。

それでも、小説としてすごく面白い。

発想が好き。

容姿端麗、頭脳明晰、の高校教師がサイコパスにもかかわらず本性を隠し学校中を味方につけ、バレないように女子生徒に手を出し、最後には全員殺す、って・・・もう舞台だけでわくわくしちゃう設定だよ。

自分も「感情がないんじゃないか」とか思っちゃうことすらあった。たぶん、大丈夫。

最後の最後も良かった。

細かい伏線が張ってあった。

人間の黒い部分をこれでもか、と見せつけて、最後に小さな光を提示する手法。『黒い家』もそんな感じだった。

でも、人間に対してすごく真摯な態度だと思う。

綺麗ごとだけではすまない、けれども綺麗な部分だってある。

その割合は99対1くらいだけど、貴志祐介の人間感が非常に好きなのだ。