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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

旅のラゴス/筒井康隆

小説

面白い小説を挙げろ、と言われたら必ず話題に登る本書。古い本なのに、なぜか最近、書店で押されており、良いタイミングなので読んでみました。

タイトル通りラゴスが世界中を旅するお話。ここは科学が進歩する代わりに、瞬間移動や壁抜けなど、ちょっとした超合理的能力が備わった人間たちが住む不思議な世界。「新世界より」の様に超能力がキーとなる世界ではなく、ほんとにちょっとした時に使う洒落のような超能力。むしろ、この設定いらないんじゃないかってくらい、ささいな能力。

ラゴスの旅は何十年も続き、行く街々で、奴隷になったり、王様になったり、医者になったり、神様になったり、様々なことが起こるのですが、筆致が非常に淡々としており、何十年もの時間が颯爽と過ぎていきます。

丁寧に描こうと思えば、5冊くらいになったであろうラゴスの旅。そんな壮大な物語を薄い本に収めてしまったのですが、それが未練がましくなくて良いのかもしれません。どんな冒険に満ちた人生でも、振り返ったら案外淡々としたことの連続なのかもしれない。

通勤の電車にぴったりの小説です。