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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

孤独の価値/森博嗣

人文科学

幻冬舎新書が来てます!2冊連続! 最近、”孤独”について考えることが多く、ちょうどこんなタイトルの本があったので読んでみました。

この本が説く”孤独の価値”とは単純明快。孤独な時こそ、人間の創造性が最大に発揮される、という点です。どんな発明も、どんな芸術も一人の頭からしか生まれない。それは孤独な状況に身を置いていたからこそ、生まれた発想なのだ、とそういう話です。

本書の最大の矛盾は、森博嗣が”全く孤独でない”点です。たしかに仕事の関係者とは関わらないように山奥に住処を移したようですが、当然のように奥さんと子供と一緒に暮らしている。めっちゃ繋がってる。しかもこれほど強固なものはないと言える形で家族と繋がっている。

森博嗣は孤独ではない。孤独が心を蝕んでいく苦しみを知らない。だからこの本は孤独を論じた本ではない。”どうでもいい人から離れて暮らそう”という本です。家族と仲良く暮らしながら、創造的な活動はひとり部屋にこもって集中してやりましょう。夕飯はみんなで鍋をつつくのが楽しみだ!みたいな。

孤独な人生は生きるに値しないと私は思う。どんな芸術も発明も学術的発見も誰かと共有できるから素晴らしいのだ。誰かそばにいないと、少なくともいてくれると思い込まないと、人間一秒も持たないと思う。ひとりで生きていくのは悲しい。寂しい。虚しい。

中島みゆきのwithという歌を思い出す。

with...そのあとへ君の名を綴っていいか with...淋しさと虚しさと疑いとの代わりに with...

なぜあなたは私のそばにいてくれるのだろう。本当は私とは全然別の気持ちなのかもしれない。それでもいい。一緒にいてほしい。ただ一緒にいれることが嬉しい。これが丸裸の人間の在り方の様な気がするのです。