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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

脳内麻薬/中野信子

自然科学

新進気鋭の脳科学者・中野信子の新書です。人間の行動原理を脳内麻薬ドーパミンによってクリアカットに説明してくれる良書です。というか、価値観を揺さぶってくる毒本です。

この本で言いたいことはたった一つ。アルコール、タバコ、パチンコ、競馬、ゲームなどハマったらやっかいなことも、毎日のジョギング、資格試験の勉強など人生の目的のための自己研鑽も、どんな行動も脳内麻薬ドーパミンに支配されているいう事実。

美味しいご飯を食べたいと思うのもドーパミンの分泌によって快楽を得られるから。大好きなあの人とデートしたいと思うのもドーパミンの分泌によって快楽を得られるから。必死に努力をして事業を成功させたいと思うのもドーパミンの分泌によって快楽を得られるから。

もっと言うと 困っている人を助けるのは、その行為によってドーパミンが分泌され快楽を得られるから。世界を変えるような学術的発見をしたいと思うのは、その行為によってドーパミンが分泌され快楽を得られるから。音楽や絵画や詩や映画などのあらゆる芸術が存在するのも、それに触れることでドーパミンが分泌され快楽を得られるから。

なんだこの人間観!明快過ぎるだろ。人間ってこんなに単純で、筋が通っていて、理屈どおりに動いているんだろうか。所詮、人間は動物に過ぎず、この脳内麻薬ドーパミンに抗えないのだろうか。自分を滅して、世のため人のためと思って行ったことも全てドーパミンに支配されているゆえなのだろうか。欲情を抑え、理性的に行動するのも、理性を選ぶことによって快楽を得ているだけなのだろうか。

この結論は非常に面白くない。その感情さえも脳科学者は脳内物質で説明し尽くすから厄介なのだ・・・。