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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

ZERO to ONE/ピーター・ティール

ビジネス本

シリコンバレー界隈では超がつくほどの有名人らしいピーター・ティール氏の起業指南書です。日米同時に発売されたばかりなので、本屋の店頭で山積みされており、意識高い系の人達必読の書みたいな扱いになっています。

はっきり言って面白くない本です。ピーター・ティールという人間への憧れをバイアスにして読んで、初めて良本という判断が出来る、そういう類いの本と思います。半年後には忘れ去られていると私は思います。読み継がれてたら私の頭がイカれているのだと思います。

なぜ面白くないのか解説します。

1、図や表が雑。  概念を図示する場面が何カ所か出てくるのですが、その図が含有する情報量の割にかなり多くのページを割いています。これは内容のない本に典型的な手法です。つまりページ稼ぎです。

2、専門外に言及し過ぎる  栄養学の学問的意味やフェルマーの最終定理の証明、次世代エネルギー政策等、知的に見える事例を引き合いに出して、そこから演繹してあるビジネス上の法則性を説明しようとするのですが、それぞれの説明が非常に浅い。ちょっと仕入れた知識を披瀝したいだけ、という魂胆が見え見えなのが辛い。

3、経済学基礎Ⅰっぽい  昨今の「リーンスタートアップ」が起業家志望の若者に真新しく響いたのは、定説と反対のことを説得力のある形でやってみせたからです。「長期計画をしっかり策定して、顧客を満足する完璧なプロダクトを万全の体制で販売開始しなくては成功しない」というガチガチの定説をぶっ壊してくれたから、皆に響いたのです。「長期計画などいらん。取りあえず最低限の機能だけを備えたプロダクトを発信してみて、顧客の反応見ながらtry&errorしていけば良いんだよ」、これこそリーンスタートアップがゼロから生み出した方法論でした。でも『ZERO to ONE』は当初の定説通り、長期計画に基づいて完璧なプロダクトを発信せよと言う。そのことの優位性はみんな知っている。経済学基礎Ⅰの教科書に書いてあるから。さらに競争をするよりも、独占状態が一番有利だと何度も繰り返す。そんなことも知っている。経済学基礎Ⅰの教科書3章くらいに書いてある。いまさらオレンジのカッコいい装丁を纏ってまで発信する内容とは到底思えない。

冷静に曇りなき眼でこの本を読んでみて下さい。何か新しい発見ありました?読む前と読んだ後で何か変わった事ありました?私の場合は時計が21:00から23:30と表示するようになっただけでした。