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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

夏への扉/ロバート・A・ハインライン

小説

SF小説の話題になれば、まず挙げられる『夏への扉』。あちこちで大絶賛されており、趣味読書と銘打っている以上読まない訳にはいきません。

夏への扉』という言葉は、主人公ダンの愛猫ピートが作り出した言葉です。冬になるとピートはどこかに夏へ通じる扉があると信じて、ダンに家中の扉を開けさせるという何とも可愛らしいエピソードからこの物語は始まります。

ただし、このエピソードも猫も物語の骨子には何の関係もありません。何にもないのです。

偶然昨日観た『アバウトタイム』と同じタイムトラベル SFです。50年代に書かれた小説が予想する西暦2000年の進歩と、2014年の現実を比較すると少し悲しい気分になりますが。物語はなかなか整然としていて面白いです。ダンの置かれた境遇が可哀想でぐんぐん引き込まれて一気読み出来ました。ラストも素晴らしいくらいのハッピーエンド。

でも、ロリコン小説と言わざるを得ない。10歳の少女が「叔父さんと結婚したい」という言葉を真に受けて夢中でタイムトラベルをする姿は滑稽を通り越して不気味ですらあります。飽くまでも保護者として接していたと思っていたのに、物語の中にはこの少女と恋愛関係になるようなエピソードは何一つないのに。ただ猫の世話をしてくれていた少女というだけなのに。恋人に裏切られたからって、急におっさんと少女が男と女の関係になるっていう構図が私には受け付けませんでした。主人公、変態、だよね?

読んで良かったこともあります。山下達郎の『夏への扉』という曲の意味がようやく分かる様になったことです。あの山下達郎吉田美奈子の作詞として最高傑作と褒めそやした作品なのに(素敵な午後は、よりも!)、今まで全く意味が分からなかったのですから。

この小説を読んだ事のない人に、いきなりピートとか、リッキーティッキーティビーとか言ってもね。この曲をダンがピートとリッキーに歌ったものだと理解すると、なかなかロマンチックかもしれません。

まぁ、ロリコンだけど。