「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

逃げる中高年、欲望のない若者たち/村上龍

なぜか本屋さんで目が合ってしまいました。村上龍の本は読んだことがないし、好きでも嫌いでもありません。カンブリア宮殿で、結構表面的な質問ばかりする人だなという印象しかなかったのですが、文章はさすが。他人の内臓を抉り出す様な切れ味鋭い言葉が続きます。

とにかく村上龍は若者が嫌いらしい。欲望を持たず、現状に満足している若者を見るとイライラして、気が滅入ってくるそうな。しかし、彼は若者を糾弾するわけではありません。”今の時代、そうなっても仕方ない”と理解を示しますが、一方で”君たちは不幸だな、俺はもっと楽しく行きていくぜ”と、若者を挑発します。

私は自分のことを若者とも思わないし、不幸なほど現状に満足出来ない性格だと思っています。とにかく”ここではないどこか”を探し求め、地位や権力や金銭を欲望し、疲弊し、夢想している人間です。内田先生からすると、”青い鳥症候群”の不幸な人間の部類だと思います。

でも村上龍は、そんな人間を歓迎している気がするのです。欲望でギラギラした若者達が日本を動かしていく、そんな未来をどこか期待しているような気がするのです。

共同体にはいろんな人種がいた方が良い。足るを知る人間が増えた昨今では、溢れ出る欲望に支配されている人間の方が貴重で、生存競争上有利とも言えるかもしれません。あまり競合がいませんから。

とにかく色んな本を読みたいし、色んな場所を見たい。自分の家が欲しいし、自分の時間も欲しい。仕事には報酬もやりがいも裁量権も欲しい。今は、そんなギラギラした欲望に駆動されるまま、生活をしています。