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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

不毛地帯 5巻/山崎豊子

小説

シベリアの極寒地と中東の土漠地、ふたつの不毛地帯をめぐる壱岐正の物語、遂に完結。

中東の油田開発入札の争奪戦と社内闘争、政治腐敗に、親子愛。一人の男にとりまくあらゆる物語が同時進行し、見事に収束していった快作でした。

この壱岐正という男は、男が惚れるほどカッコいいのです。気分次第で家族にあたったり、冷徹に人を切り捨てたりすることもあるのですが、その一言一言の言葉が洗練されており、妙な説得力を持つのです。こういう商社マンになりたいなと思える人物でした。

中途で商社に入ったこと、今までの商社の在り方から脱皮しなければならない市場環境にあること、の二つが今の私と重なって見えて、非常に勉強になり、面白く読むことが出来ました。5年で重役になるのは不可能ですが、自分も結果を出して、偉くなって、世界中の有力者と世の中を動かす様なビッグプロジェクトに携わりたいと思える様になりました。

自分には向かない仕事と自覚しながらも、結果を出し続け、シベリアの地へ戻るために颯爽と商社を去った壱岐正。彼の背中には、いつも孤独な死の影がこびりついているようでした。そんな男に、男は惚れるのでしょうね…。