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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

峻烈な反ミステリー『人喰いの時代』/山田正紀

SFの大家、山田正紀の反ミステリー小説です。そんなに新しい本ではないですが、本屋で大きくポップが飾られていたので乗せられて買ってみました。

小さなミステリーの連作が続きますが、最後にちょっとしたカラクリがあります。そのカラクリは今までの世界がひっくりかえるほどの大どんでん返しのはずなのですが、今までの小さな殺人事件があっさりとした小ネタ過ぎて、あんまり驚きませんでした。あ、そうなの?くらい。

霊太郎と秀介のキャラ設定は魅力的なので、ぐいぐい読めます。

以下、ネタバレをします。

この小説は、探偵小説と現代ミステリーをどう掛け合わせるかという課題に果敢に挑戦した結果、峻烈な反ミステリー、反探偵小説となったようです。”現実は、探偵小説やミステリーなんかじゃない”といった台詞が何度も登場しますが、その台詞が、実は小説の中の小説で展開されていた訳です。小説の中の小説を生きている人間が小説ミステリーを否定し、小説の中で生きている人間が小説ミステリーの世界に生きている。そしてそれを書いている山田正紀が真っ向から小説ミステリーを否定している。現実は小説やミステリーじゃないんだ、と言ったメッセージを2回転させたのがこの小説だったような気がします。

本ばっかり読んでないので、現実を生きろと。本がそんなに楽しいもんでたまるか、と急に突き放された読後感。新しいし、強烈です。結構堪えました。でも私は、読書を止めません。