「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

家計が火の車っていう意味『火車/宮部みゆき』

日本の名作ミステリーの話題になると真っ先に名前があがる宮部みゆきの『火車』。どのサイトを見てもレビューは良いし、おススメ読書フェアでもいつも先頭に並んでます。

ただ…個人的には名作と言うほどのものではない気がしました。たしかに、文章は巧いし、微妙な感情の揺れ、その感情を読み取った時の悲哀なんかを表現させたら、ぴか一なんですが、ストーリーが全然魅かれないのです。

人物の入れ替わりなんて、他の小説でも良くあるし、カード破産や借金の取り立ての描写なんかは、それこそ『東京難民』や『闇金ウシジマ君』の方が悲惨です。

トリックの解明の仕方も地味、たまたま誰これが昔言ってた、とか。性善説にもとづくとこういう行動をとるだろうっていう捜査方法。事件の骨子も戸籍の入れ替わりだけ(殺されたかどうかは最後まで不明だし)。 確かに登場人物の人生は悲劇です。ただし、カード破産問題は当時は深刻だったかもしれないけど、現代ではあまりリアリティが感じられる社会問題じゃないし、誰でも”ただ幸せになりたいだけ”で陥る問題じゃない。親のローンを肩代わりさせられるところも、いくらでも解決策が浮かぶし(弁護士や警察に相談すべき)、それで人殺しが正当化されるものでもない。情状酌量もしたくない。ましてや、優しく話をきいてあげようという心持ちにならない。

結論から言うと、宮部みゆきのお話は、私の好みではない、ということですね。