「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

こんな奴いねぇよ『東京難民/福澤徹三』

来年には映画化が決定している『東京難民』です。毎日授業をさぼり、15万円の仕送りを貰っている平凡なFラン大学生が主人公です。ある日突然、両親が行方不明になり、送金が途絶え、学費が払えず、除籍になってしまいます。そこから、下流下流へ生活環境を落としていくお話です。

格差社会で生きる若者のリアルを描く傑作、とか銘打っていますが、全くリアリティのないお話です。大学生から転落していく理由が、社会が一度レールを踏み外した人間に厳しいから、とかそういうものではなく、主人公が全てのチャンスを棒に振っているから、に他ならないからです。努力をせず、ギャンブルに没頭し、友情を軽んじ、感謝を忘れ、自分を甘やかしても何の反省もしない思考回路が致命的に幼稚だからです。

確かに、底辺で生きる人々の描写は興味深いですが、文章も特別巧い訳ではないし、主人公の言動が屑過ぎて読んでいる者をいらだたせます。最後は何となくいい感じで締めようとしていますが、彼は何の成長もしていません。相変わらず、独善的で視野狭窄、付和雷同、厚顔無恥です。

あまりに主人公が終わってるので、普通に就職し、独立して生計を立てている自分がもの凄く素晴らしい人間であると勘違いできる小説です。自分に自信がなくなりそうな方におススメです。