「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

橋ものがたり/藤沢周平

巨匠、藤沢周平による橋が主題の歴史小説です。なるほど、橋というのは川を渡る時に必ず通る道、なので周辺の人間が必ず寄るところであるし、常に人が行き交う交流の場なのです。当然そこには人々の出会いや別れを巡るいろんな想いが刻まれています。

この本は、恋愛の短編集です。職人見習いの若者から、夫を疑っている妻、博打あがりのおっさんまで色んな目線でそれぞれの恋愛模様を描いていて、時代は違えど、誰もがどこかに共感してしまうことでしょう。

この本がたまたまそうだったのか、今も本当はそうなのか、分かりませんが、家族のために、飲み屋で働かざるを得ない女性の多いこと多いこと。でも、そんな健気な女性は必ず幸せになるのが藤沢周平作品が愛される要因なのかもしれませんね。

穏やかでしっとりした物語は梅雨の読書にピッタリです。短編集なので、少し時間が空いた時にも読めて、良い本でした。