「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

女奴隷は夢を見ない/大石圭

光文社のフェア『こころを紡ぐ物語たち。』として売り出されておりました。タイトルからしてエログロの要素がありそうで、しかもこころを紡ぐくらいの感動があるとすれば、読まない手はありません。

2日間で読めました。タイトル通り、女性が奴隷として売られていく世界の話です。主人公は奴隷を仕入れてオークションに出品する奴隷会社の社長。物語は、その会社に仕入れられた女達の生きてきた人生や、希望が絶望に変わっていく様を丁寧に描いています。彼氏との沖縄旅行を控えた美人女子大生が両親に売られたり、女優を挫折した美人妻がエリート夫に売られたり、貧しい国に生まれ、娼婦としてしか生きてきたことのない天使の様な美少女と心を通わせたり・・・。

飽くまでも、奴隷オークションのための仕入れ、教育、出品がメインなので、女奴隷をどんな風に扱うかと言ったエログロ最悪描写は、そんなに多くありません。人生に突如として襲ってくる不条理に対して、人間はどんな風に抗い、どんな風に屈服していくのか、を描くために奴隷市場という世界を描いてみた、という感じでしょうか。賎しい職業に従事せざるを得なかった主人公の葛藤とか、売られていく女性への同情とか、そういう内面の世界も少し触れられているのですが、なぜか主人公は自分には感情がないと思っている設定なので、結構あっさり語られて終わる印象です。

全く『こころを紡ぐ』話じゃなかったのが驚きですが、エンターテインメントとしては悪くないかもしれません。でも休日を費やしてまで読む本じゃないですね。。