「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

日本公開中止となった問題作「マザー!」

マザー!」観ました。ジェニファーローレンスが好きなので。



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喝采とブーイングが入り乱れる評価らしい本作。Yahoo映画でも低評価ばかり。「時間の無駄」とか「ただただ不快なだけ」とか「ひたすら意味不明」とか酷い評価が並びます。Yahoo映画は基本的に信じる派なのですが、極端な作品は低くなりがちなので、こういう場合は逆に見たくなります。



結果。私、個人的には結構好きです。星4つ。


いろんなブログで書かれている通り、この映画は聖書をモチーフにしている。というか聖書の話をそのまま擬人化というか大衆化というか、下劣化して映像化したもの。主人公のジェニファーはマザーアースで、旦那は神で、謎の来客はアダムとイブで、暴れる訪問客は大衆、という風に。


「ふむふむ、なるほど聖書というのはこんなに酷い話なのか、こんな本を崇拝しているキリスト教ってやばいな」と思われることを嫌がる人、もしくはそういう人からの批判を恐れる人が忖度して、日本での公開を中止にした訳です。


この映画のどのシーンが聖書のどのシーンだって、あてはめて観ることは楽しいけれども、実はそんなことはどうでも良い。これを見たところで「キリスト教はあほらしい、すぐに棄教すべきだ!」とは誰もならないから。


問題は、この純粋無垢な妻と博愛主義過ぎて自己中な夫と意味不明な大衆たちの行動を見て、観た人がどう感じるかです。決して普遍的なメッセージではないとは思います。妻は世の中の女性像を表象していないし、夫は男性社会のシンボルには絶対ならない、あんな訳の分からない大衆がいきなり押し寄せて家を爆破することはまずない。


しかし。しかしである。誰でも少しは自分の中の汚いものを彼らの行動の中に見つけてしまうのではないだろうか。相手が嫌がっているのに自分が楽しいことを押し付けていないだろうか、人のものを欲しいと思ったことはないだろうか、してはいけない場所でしてはいけない事をしたくなることはないだろうか、出来ることなら一回この世界をリセットしたいと渇望したことはなかったか。



それらの欲望が極端な形で具現化したのが「マザー!」の世界であって、聖書の中だけの世界でもなければ、我々が生きている世界と縁遠い世界でもない。だから見てて不快だし、公開中止にしてほしくなるのだと私は思います。


また何の教訓がなくても、エンターテインメントとして非常に面白い映画です。次に何が起こるか分からないワクワク感。奇想天外すぎる登場人物、斜め上を行く超展開。これほどのハチャメチャエンターテインメント映画はなかなかない。


公開中止にしている場合じゃなかったですね。ぶっとんだ映画好きな人には超お勧めです。