「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

恐怖の本『AI vs.教科書が読めない子どもたち』

様々なメディアで紹介されている本書。
衝撃の内容です。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち


なにが衝撃か…。

AIが劇的に進化して人間の仕事をどんどん奪っていくという予想が立てられたからではない。

AIの進歩が人間の知能を追い抜き、近いうちにロボット帝国が誕生してしまうからでもない。

人間が最も基本的な構文でさえ、全く意味を理解していない、ということが実験によって分かったからです。


本書で紹介されている実験は子供相手になされたものなので、今の子供だけが劇的に知能を下げただけだと思えばまだ気は楽ですが。本当に根本的な意味理解のところなので、近年から劇的に能力が下がるものとも思えないんですよ。ゲームとか、核家族とか、スマホとか、そういうことが影響するはるか以前の地平の話。普通の会話が成立する最低条件。本書によって、そもそも人間なんてみんな訳わかんないまま生きてるってことが白日の下にさらされてしまった。

「A=Bである。B=Cである。なのでA=Cである」くらい基本的な論理構成すら理解出来ていない。だから教科書読んでも分からない。言われたことを反射的に繰り返すことは出来るけども、自分で考えて応用することが出来ない。だって論理が分かんないんだから。因果関係もわからない。過去から将来を予想することも出来ない。なぜ今自分はこうなっていて、周りはこう言っていて、それをしなくてはならないかが分からない。



さらに厄介なことにその能力を改善する方法も現時点では判明していないらしい。


一方コンピューターとは意味を理解しないけれども、指示されたことを指示されたとおりに計算することはめっぽう得意です。実験で明らかになったのはコンピューターと人間は一番得意とするところでバチバチ競合しているという事実です。本来、コンピューターと差別化するためには「人間は意味を理解する」というところを強化しなくてはなりません。でもその方法論は見つかっていないらしい。それもそのはず。だってもし「意味を理解するとはこういうことだよ」って説明できることになったら、それはコンピューターにも出来るようになるってことだから。逆に言うと、コンピューターに出来ないってことは文章化して構造化して一般化できないってこと。だから他の人間に「意味を理解する方法」を教えることは人間には出来ない。それが出来たらコンピューターにも出来る。そうなったらまた人間とコンピューターが同じ領域で競合する。



AIが人間よりも賢くなるという形でシンギュラリティが来るのではなく、
人間は何も分からない生き物だということが判明する形で下方のシンギュラリティが起きそう。
そんな悲惨な未来が見えてくる恐ろしい本でした。