「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

63歳の父からもらいました。私31歳。どうやって生きれば良いか分からない31歳。

どう生きるか教えてくれる本であれば、こんなありがたいことはありません。どうか私を迷いから解き放って欲しい。不惑の40歳を迎えさせて欲しい。すがるような気持ちで貪るように読みました。


結論を申しますと、この本には「どう生きるか」書いてありました。マジで書いてありました。立派な大人になれ、と書いてありました。どんな大人が立派かも書いてありました。



「生まれつき貧しいというだけで人を見下してはいけない。」
「卑怯な真似をしてはいけない。」
「真実に近づくためには過ちを認めなくてはならない。」


みたいな感じで。

でも31歳が知りたいのはその先です。人をまっすぐな目で見つめ、正直者であり、自ら過ちを認めるだけで良いのでしょうか。その次には何を求めて生きていけば良いのでしょうか。私には何か生きる意味とか使命とかないのでしょうか。


この本はナポレオンを引き合いにだし、私の問いに明確に答えてくれました。

「人類の進歩に貢献せよ」と。

「真に尊敬できるのは人類の進歩に貢献したものだけだ」と。


ここで普通の大人なら気づく。人類の進歩ってなんだよ、と。そもそも人類は何を目指しているんだ、と。

所詮、まだまだ「大きな物語」が生きていた時代の本です。大きな物語とは人類史は常に進歩し、何かしらの最終形態を目指しているという神話です。野蛮人から文明人へと人類は発展をしていると無邪気に大人が信じていられた時代です。資本主義が貧富の差を拡大した後、プロレタリアートが団結し革命を起こすことで平等な共産主義社会が訪れるという言説が若者を突き動かしていた時代です。


第二次世界大戦を引き合いに出すまでもなく、人間は今でも地球を破壊するような爆弾を開発したり、宗教の違いで殺しあったり、芸能人の不倫に熱中していたりします。果たして50年前に生きる彼らよりも人類が進歩したと無邪気に信じられる人がどれだけいるのか。そういう意味でもうこの本は無価値だと思います。この物語を今の時代に映画化しようとするジブリが、彼ら自身の退化を象徴している皮肉。


人類は進歩しません。
なので人類の進歩に貢献するために生きることはできません。


でも我々は生きています。生きていかなければなりません。なぜ生きているのか分からないまま。どうやって生きるか分からないまま。

この本には納得のいく答えは書いてありませんでした。探索は続きます。