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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

期待と裏切りについて

裏切られたと思う時はどんな時か。


こちらの期待していた振る舞いと相手の実際の振る舞いに違いがあったとき。あるいはもっと。真逆だったとき。


なぜこちらは相手にそんな期待を抱いてしまったのか。
単に相手がこちらを騙そうとして、嘘の言葉を放っていたのか。
それとも相手は正直に話していたが、言葉の定義がこちらと違っていたのか。
そのどちらもあり得る。


こちらも相手も自分の利益が最大化するように振る舞っているだけだ。
お互いの利害が一致していれば、問題は顕在化しないが、未来永劫、全ての事柄で利害が一致することは絶対にありえない。
原理的にあり得ない。


同一の空間に二つのものは存在出来ないし、
完全に同じ物質は同時に二つ存在しないし、
同じ時間は二度とやってこないのだから。


畢竟、それぞれが利益を最大化するように振る舞えば、いつか敵対する時がやって来る。
「今回はこちらが我慢するが、次回はそちらが飲んでくれ。」
その様にして和解できれば話は簡単だが、先ほど言ったように今回と次回は絶対に同じものではない。
必ず歪みが生まれ、どちらかが不満をもつものだ。


そして、裏切りの日はやってくる。


これは夫婦の話でもあり、ビジネスパートナーの話もである。
友人の話でもあり、親子の話でもあるかもしれない。


ドリアン・グレイの肖像のヘンリー卿の言葉を思い出した。

「全ての道は同じところに通じているんだよ、グラディス。」
「それはどんなところ?」
「幻滅だ。」


あらゆる人間関係が裏切りベース、幻滅ベースであることは疑いようのない真実である。
この世界が有限であり、時間が一回性であるかぎり、そうとしかならない。


しかしこの世界の全ての道が幻滅に通じていること、それ自体に幻滅することはない。
幻滅ベースのこの世界で、一瞬でも一緒にいられたことを言祝ぐべきなのだ。


いや離婚した訳ではないです。
仕事を慎重に進める上で、自分への戒めとして考えを改めたものです。