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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

玉置浩二のI LOVE YOU

音楽

デビューして35年経つわけですが、未だに玉置浩二以上のボーカリストが現れません。

この動画を御覧ください。


玉置浩二が歌うI LOVE YOU(尾崎豊)

尾崎の歌は尾崎以外が歌うと、どうも偽物っぽくなるというか、気持ちがこもって聞こえないことが多かったのですが、玉置浩二だけは違います。私ほど尾崎を敬愛している人間が聞いても、原曲を超えていると思う。

歌が上手いってこういうことかと思う。
この上手さをどう表現したら良いのかわからない。
声量が凄まじいからでも、音程が安定しているからでも、ビブラートが一定だからでも、縦のリズムが合っているからでも、ない。
強弱、ずれ、崩し、表情、その全てが「 I LOVE YOU」を表現している、そうとしか言いようがない。


I LOVE YOUという曲は出だしこそキャッチーですが、実はものすごく地味な曲です。でも、聴けば聴くほど素晴らしい曲だと思う。

それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛が白けてしまわぬように

サビの最後に「それからまた二人は目を閉じるよ」なんて、それだけでは何の意味もなさない言葉を当てはめた。しかも、とても静かで地味なメロディに。ただ二人が目を閉じた、そんな動作だけを表現した。でも、「悲しい歌に愛が白けてしまわぬように」と倒置法で修辞することによって遡及的に前半の歌詞がこの歌の真骨頂であることを聞き手に気付かせる。前半だけを聞いても静かで地味なサビにしかならない、後半を聴き終わった時に、始めて前半がこのラブソングの真骨頂であることが事後的にわかる構造。だから「I LOVE YOU」は曲が終わった後でもその余韻が終わらない。このメロディが心の中で鳴り止まない。

こんな地味な歌が国民的ラブソングとして、30年以上聴き続けられているのは日本文化の素晴らしい結晶のひとつだと思う。玉置浩二という歌い手が引き継いでくれてとても嬉しい。