「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

仕事が忙しくて忙しくてしょうがない人へ

社会人8年目になりましたが、私は仕事が忙しい、と感じたことがないのです。瞬間的にはありますよ、今日中に仕上げなきゃいけない資料が3つあって、会議の後、すぐに会食が入っているとか。でも、継続的に忙しい時期っていう経験がないのです。たぶん、仕事がめっちゃいい加減なので、みんな私に仕事を頼まないのです。良いペースです。有閑貴族までもう少しです。金はクッソありますので。
 
また新人の頃の話になりますが。私は地方のメーカー系販売子会社に出向して、営業で外回りをしていました。同期8人も北海道から福岡までちりぢりの配属になり、毎日誰かしらとは電話で仕事の相談も含め、近況報告をしていました。(みんなひとりで地方に飛ばされたから寂しかったのです)配属されて半年もたてば、忙しい奴とそうでない奴に分かれます。何時に電話しても「ごめん、いま忙しいんだ」と言ってすぐに切る奴。いつも電話に出る奴。(私はこっち)これは仲悪いとか仲良いとかの問題ではありません。土日はみんな電話に出ていたので、純粋に業務の忙しさの問題です。仕事中に私用の電話をするべきでないという話でもありません。仕事の用で電話することも多々あったのですから。配属された地域は違えど、全員同じ会社で同じ商品を同じ方法で売っています。同じフォーマットで日報を書き、同じルートで伺い書を提出しています。でも、忙しすぎて全く余裕のない奴と、余裕のある奴に分かれました。
 
仕事が慣れてきたある日、私はそれぞれ時間を作ってお客さんに配る情報誌を作成しようと同期に提案しました。いつも電話に出る連中は乗ってくれましたが、電話に出る余裕がない奴には「そんなのやっているひまねぇ」と断られました。賛同者だけで、くだらない情報誌を作って、それをネタに客先周りをし、結果的に、訪問件数だけは激増しました。
 
私が入社した会社では、新人時代の営業はいわば修行のようなもので、「こいつはもう卒業だな」と本社が判断すれば帰されます。結果を見ると、ヒマそうにしていた順に本社に戻ることになりました。いつも忙しそうなやつほど、修業が続いたのです。「お前は電話するといつもコンビニで立ち読みしてるか、TSUTAYAでAVを選んでいるかだな」と同期に言われていた私でさえ、すぐに帰れました。
 
その後、私はさらにヒマな部署に異動になり、ヒマすぎてうんざりして転職するに至りました。そして私が転職した後、まさにそのポストにいつも忙しそうにしていた同期の彼が配属されたそうです。他の同期伝手に彼の現状を聞くと、毎日深夜まで残業して、本当にシンドそう、とのことでした。
 
 
会社にはいつも忙しそうな人がいる不思議。何が彼をそんなに追い詰めているのでしょうか。同じ仕事をしてても、この差が現れるのだから、彼が忙しいのは、彼の仕事のやり方のせいと結論付けられます。だからどの部署に行こうと決して忙しさは変わらない。仕事量はその人の持っている時間ぎりぎりまで膨張する法則。ある人がやれば一瞬で終わる仕事も、別のある人がやれば定時を超えて膨れ上がる。夏休みの宿題が8月31日まで終わらないのと同じ理屈の様な気さえします。
 
経営者というのは頭が良くて全体感の分かる人が多いですから「この程度の仕事で残業したの?それで、残業代支払わなくてはならないの?」という思考が働き、残業代を払わないブラック企業が横行する結果になっているのかも。
 
なぜ、こんなに仕事の効率に差が出るのか、よくイメージできないまま月日は流れ、先日、ようやく具体的な事例を目にしました。
 
アサイーボールを食べにオシャレなカフェに行った日のこと。
その店は大変オシャレで、若いアルバイトが精力的に働いている活気のある店だったのだけれども、めちゃくちゃ対応が遅かったのです。でも、誰ひとりサボっている気配はありません。むしろ、移動は全部小走りだし、厨房でも手を休めることなく作業しているし、従業員はみんなシンドそうな顔をしている。でも、レジに人を待たせているし、テーブルの後片付けは全然出来ていないし、洗い場には食器が貯まっているし、注文したアサイーボールは20分経ってもやってこない。

たぶん、この人たちに「なにもたもたやってんだよ、もっと早くやれよ」と言っても「わたしたちも限界まで頑張ってるんですよ!人が増えない限り、これ以上無理っす!」という返事が返ってくることでしょう。事実、彼らは精一杯働いている、これ以上頑張れと言っても無理でしょう。彼らの顔といつも忙しそうにしていた同期の顔がダブって見えました。
 
彼らの動きをよーく見てみると、人が足りないのではなくて、仕事のやり方が不味い、ということがよく分かります。
・縦長の店内で入口にあるレジと奥の配膳を同じ人が行っている。
・テーブルの後片付けにおぼんを使わないので、何往復もしなくてはならない。配膳の時も同じ。
・手で厨房の台まで汚れた食器を運んで、さらにそこから洗い場に持って行くので工程が二度発生している。
・二つのアサイーボールを作るのに、イチゴをカットして元の位置に戻し、バナナをカットし元の位置に戻し、アサイ―を入れて元の位置に戻して、盛り付けしている。そして二つ目も全く同じ動作を繰り返している。

ざっと見ていてこれだけ非効率な動きがありました。これを改善すれば今の人員で回るんじゃないかな。
 
たぶん飲食店に限らず、みなさんの会社でもこんな仕事のやり方をして「忙しー、俺がいないとこの会社回らないよ」と愚痴を言っている人がいるのではないでしょうか。彼が忙しいのはきっと事実でしょう。仕事が沢山あるのも仰る通り。でも、もっと効率的に仕事を片付ける方法があるのかちゃんと考えたのだろうか。毎日、忙しいと思う人は、目の前のタスクを一目散に追う前に、全体を見渡してみて、取り組む方法をじっくり考えてみては?誰かに吹き込まれたからと言って、緊急度と重要度を分けるマトリクスを作って満足してない?そのマトリックスに則って、仕事の優先順位を決めて、正面突破すれば万事OKだと思ってない?当たり前だけど、仕事には緊急度と重要度の属性しかない、訳ではないよね。それぞれ独立したタスクに見えても、実は関連している考え方があったり、同じ枠組みを使った方が効率的な作業があったり、ちょっと方法を変えたら劇的に工数が削減されるものがあったりするものです。この仕事の後に、この仕事をした方が考え方に連続性があって捗る、とか逆にずーっと1人で単純作業が続いた後には誰かと一緒にワークするものの方が頭が切り替わって良いとか。仕事に取り掛かる前に、そこに時間を費やした方が良いのです。仕事に取り組む前に優先順位と方法を決める。これが大事。
 
上のアサイーボールカフェの例で言うと。
・レジに近い配膳担当を作って、その人レジを担当したらどうだろう。
・手で配膳するのが大変ならおぼんを使ったらどうだろう。
・他の仕事が迫ってるのは分かるけど、どうせ流しに食器を持って行くならひと手間で流しまで持って行ったらどうだろう。
・いちごを二度使うなら度々戻さず、一度に二人分カットしたらどうだろう。
こんな単純なことでも効果はテキメンです。

言われたとおり、目の前のことを物理攻撃でちまちま叩いていたら、忙しくなるのも当然です。あなたを急かしてくる人たちはあなたがどんなタスクを抱えているのか全然知らないんだから。当然依頼者は「俺が依頼した仕事を真っ先にやれ」と一方的な命令をしてくる。だから、あなた自身が、全体を見る目を持たないといけない。逆にいうとあなたしかあなた全体のことは分からない。もちろん、優先順位付けには、あなたが楽かという基準ではなくて、組織のパフォーマンスが最大化するやり方はなにか、という基準が必要です。

もっと分かりやすく例えよう。敵がスライムのグループなら覚えたてのメラゾーマよりもギラ一発唱えたほうが早い。魔物の群れの中にはぐれメタルがいるなら、どれだけ上司がオークキングを先に倒せと言っても、パーティ全員ではぐれメタルを物理攻撃でたたけ。結果的に全員がレベルアップするんだから。攻撃力が高い敵と防御力が高い敵がいたら、真っ先に攻撃力が高い敵の弱点をついて倒せ。MPがなくなって困るよりも、温存しておいたときの機会損失の方が圧倒的に痛い。どんどん魔法を使っていけ!そういうこと。優先順位と方法!両方を同時に考える!これは不可分!
 
そうやって効率化を求めていった結果どうなるか。私の例はと言うと、仕事に費やす時間が減り、退屈になり、すぐに帰るから評価も下がり、早く家に帰ると奥さんに怒られる。そんな毎日です。仕事はダラダラやるに限るな。。。