「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

芸術家になる方法

結婚をして1年が経ち、あまりに当たり前の事実に気づき愕然とする自分がいました。なんで結婚する前に気づかなかったんだろう。気づいても仕方がないんだけど、こんなこと想像もしていなかった。


その事実とは・・・































結婚をした後でも当たり前に人は人を好きになる


















ということ。

ドラマや映画や小説で見た限り、そんなことはなかった。「僕はもう逃げません。桜子さんあなたが好きです。You're everything♪」でハッピーエンド。「私を幸せにしてください。愛には愛でー感じ合おうよー♪」末永く幸せに暮らしましたちゃんちゃん。

でも冷静に考えてみればわかる。あなたは高校時代・大学時代・20代前半の時に人を好きになった。今まで一人しか好きならなかった人の方が希でしょう。初恋で「もうこの人以外考えられない」と思っても、恋が冷めて1年か2年経てば自然に他の人を好きになっている。何度恋に破れても、次々に魅力的な人やそうでもない人を好きになってきた。

あなたが20代半ばで結婚したとしよう。5年経って30代になりました、はい、金輪際人を好きになりませんって訳にはいかない。この人だけを愛すと神に誓えばその通りになる、という訳ではない。

どうやら人間という生き物はそういう風に設計されているらしい。(だから神前で永遠の愛を誓うあの婚礼の儀式は必ず嘘になる茶番だと私は思う。)

結婚をしても、そんなことが当たり前に起こると言う事実。当然だ。結婚なんて、ただの紙面契約に過ぎない。紙で気持ちを繋ぎとめられるものか。(一万円札なら可能だ)でも結婚しているから、もうあなたの恋が叶うことはもうない。残念だけどない。金輪際ない。なんて切ないのでしょう。

いや、私の話ではないよ。私では断じてない。私は奥さんしか愛していない。奥さん以外目に映らないし。喋りもしない。目も合わせない、手も触れないから、お釣りも受け取れない。レジが女の人だったら、金額ぴったり出すからね。そのために常に財布は小銭でパンパン、常に999円用意しておく必要がある。でもたまにそうもいかない時がある。1万円札しかないときもある。そんな時は、もうお釣りを諦めるしかない。キシリッシュ買うのに1万円かかる。仕方ない。結婚してるから。それくらい奥さん一筋。目も合わせられないから、常に俯いている。下向いて喋るしかない。完全にコミュ障。でも鏡越しはセーフ。鏡越しならメデューサに見つめられても石にならない。確かそういう設定だったはず。だから常に手鏡をもって会社に行く。手鏡越しに会議を乗り切る。エスカレーターに乗っている時に云われ無き疑いをかけられないかどうかが心配。I'm not Mirror Man.
でも、仕方ない。私には最愛の奥さんがいるのだから。うん、わかってくれた?ひゅー、焦ったー


よし、誤解が解けたから話を戻すけど世の中の結婚の平均年齢が30歳。人間は死ぬまで人に恋をするとすると平均寿命80歳までの50年間、あなたは叶わぬ恋をし続けることになる。なんて切ないんでしょう。

だからだ。だからこの世はラブソングであふれているのだ。しかもうまくいかないラブソングばかりだ。「わたしはあなたが好きで、あなたもわたしが好きで、毎日面白い~」なんて歌は少ない。はちみつきんかんのど飴のCMくらいだ。

恋愛の成就が結婚だとすると、ふつうの人生では成就する恋愛は人生に一度きりということになる。(玉置さんは4回?5回?)でも、人生で人は5回も6回も恋をするだろう。もっとするか。80歳までに20人はするんじゃねぇの?そんなことない?

とすると世の中に切ない失恋ソングが溢れるのもむべなるかなである。人生で20回恋をして1回しか成就しないなら、世の中のラブソングの95%は失恋ソングである。もっと言うと成就(結婚)しても必ず冷めるのだから失恋にならない恋愛なんて存在しない。

同じような曲でも構わないのだ。自分の感情を言葉にして、メロディに載せて、歌い上げると、想いは消化される。解き放たれる。これは本当にそう。嘘だと思うならやってみたら良い。いや歌じゃなくて、ドラムでも小説でも絵でもダンスでも演劇でも料理でもパッチワークでも何でも良いんだけど、芸術活動は感情を運んでくれる。運ばれた感情は上手に昇華される。

だから芸術家は結婚しなくてはならない。そして囚われの身に舞い降りた美しく報われない感情を彼らの代わりに解き放ってあげなければならない。それが芸術の役割だ。自由に恋愛可能なところに、素晴らしい芸術は生まれない。たぶんそう。

逆に言うと結婚したらもう芸術家になるしかない。その報われない想いを、溢れる衝動を、膨れ上がる切なさを何かに託さねば生きていけないからだ。


別の人を好きになったー、はい結婚解消ー、では芸が無さ過ぎる。文字通り無芸術である。

永遠の愛を誓った人への愛が霧消し、また別の場所で永遠の愛を感じてしまう自己矛盾・葛藤・不信。

この苦しみを芸術に昇華すること。芸術で消化すること。

これ以上に生きていることを実感できる瞬間があろうか。

いや、ない。





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ちょっと熱くなり過ぎましたが、うん、私は関係ないですよ。
奥さんしか見えていないので、ははは。
またね。