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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

タックスヘイブン/橘玲

6年前、卒業旅行の飛行機で『マネーロンダリング』を読んだ衝撃を忘れません。世の中にはこんなことを考えている人がいて、こんな暮らしをしている人がいるのかと社会人生活にワクワクしたのを覚えています。実際は全然関係のない、泥だらけの業界に入った…

不毛地帯 5巻/山崎豊子

シベリアの極寒地と中東の土漠地、ふたつの不毛地帯をめぐる壱岐正の物語、遂に完結。 中東の油田開発入札の争奪戦と社内闘争、政治腐敗に、親子愛。一人の男にとりまくあらゆる物語が同時進行し、見事に収束していった快作でした。 この壱岐正という男は、…

不毛地帯 4巻/山崎豊子

千代田自動車とフォーク自動車の事業提携、クライマックス。日本の商社同士で怒濤の商戦が繰り広げられます。日本の商社マンがどうやって海外へ日本ブランドを売り込んでいったか、日本にどうやって天然資源をひっぱっていったか、その苦労がよぉく分かりま…

不毛地帯 3巻/山崎豊子

自らのありかたに疑問を持ち始めた元参謀陸軍参謀の商社マン壱岐正。 だんだんと彼らしい大局観を取り戻しながら、社内で敵対する勢力とうまく調整し、近畿商事を盛り立てていきます。ただ、仕事がうまくいけばいくほど、家庭がうまくいかなくなるのが、いつ…

不毛地帯 2巻/山崎豊子

陸軍参謀エリートが商社での第二の人生を歩み始めた第2巻です。防衛庁の戦闘機を巡る1000億円を超える商戦に際し、かつての陸軍のコネクションをフルに使い受注活動を行う主人公、壱岐正。 そこにはシベリアの抑留生活を耐えさせた鉄の志や、国益のための無…

生存者ゼロ/安生正

第11回『このミステリーがすごい』大賞受賞作です。舞台は日本の北海道。根室沖の石油採掘基地で働く数十人の人間が全身血を吹き出して全滅したところから始まります。状況を調査しに現場に降り立った陸上自衛隊の主人公は、その凄惨な現場で奇妙なことに気…

川あかり/葉室麟

ほっこり系時代劇です。本屋のランキングに入っていたので衝動買い&読み。藩内の権謀術数の企みなど感心するほど、細かい事情設定がされ、ぐいぐい読めます。 ただし、武士として生きること、うんぬんのところは良くわかりませんでした。武士同士の討ち合い…

峻烈な反ミステリー『人喰いの時代』/山田正紀

SFの大家、山田正紀の反ミステリー小説です。そんなに新しい本ではないですが、本屋で大きくポップが飾られていたので乗せられて買ってみました。 小さなミステリーの連作が続きますが、最後にちょっとしたカラクリがあります。そのカラクリは今までの世界が…

『不毛地帯 1巻』/山崎豊子

初めての山崎豊子。名前はもちろん、知っていたし、ドラマも何個かみたことありましたが、本を手に取るのは初めてです。この話の主人公は壱岐正、モデルは瀬島龍三です。当時のエリート養成学校である陸軍士官学校から最年少で大本営参謀中佐になった男が30…

海賊と呼ばれた男/百田尚樹

第10回本屋大賞を受賞し、150万部突破したという本書。出光興産の創業者、出光佐三をモデルにした歴史経済小説です。上下巻あって、かなり長いです。 そこそこ面白い小説ですが、そこまで人を熱中させる魔力を持った話ではない気がします。たしかに、この…

アリス殺し/小林泰三

天才作家、小林泰三先生の最新作です。本格ミステリーと銘打ってありますが、ファンタジーなので基本なんでもあり。だから”本格”ではありません。ただし、声を出して笑ってしまうくらい面白いです。 言葉の多義性をついた勘違いや、ツッコミ。まるで意思が通…

貴志祐介の最駄作『雀蜂』

貴志祐介の最駄作でした。読まなくて良いです。時間の無駄です。 『新世界より』の世界観を0から作り上げ、日本SF界の頂点に到達した貴志祐介先生にこんな作品を書かせる出版社の料簡が分かりません。しかも、角川ホラー文庫への書き下ろし、角川ホラー文庫…

家計が火の車っていう意味『火車/宮部みゆき』

日本の名作ミステリーの話題になると真っ先に名前があがる宮部みゆきの『火車』。どのサイトを見てもレビューは良いし、おススメ読書フェアでもいつも先頭に並んでます。 ただ…個人的には名作と言うほどのものではない気がしました。たしかに、文章は巧いし…

こんな奴いねぇよ『東京難民/福澤徹三』

来年には映画化が決定している『東京難民』です。毎日授業をさぼり、15万円の仕送りを貰っている平凡なFラン大学生が主人公です。ある日突然、両親が行方不明になり、送金が途絶え、学費が払えず、除籍になってしまいます。そこから、下流下流へ生活環境を落…

ABC殺人事件/アガサ・クリスティー

アガサ・クリスティー作品3作目です。ポアロに殺人予告の手紙が届き、ABCの順番に頭文字が当てはまる人が殺されていく連続殺人事件。 簡単に殺人を許してしまうし、犯人もたんたんと捕まるので、ポアロのどこが名探偵なのか、と思いましたが、最後に大どん…

アクロイド殺し/アガサ・クリスティー

アガサ・クリスティーの作品、二作目です。『そして誰もいなくなった』で受けた衝撃が忘れられず、三冊衝動買いしてしまいました。 この『アクロイド殺し』はアガサ・クリスティーの人気作ランキングで『そして誰もいなくなった』に次ぐ不動の二位にランクイ…

孤宿の人/宮部みゆき

長い間、更新できなかった訳は、この大長編を読んでいたからであります。上下あわせて1000ページの時代小説。実は宮部みゆきの作品を始めて読みました。 舞台は徳川家斉時代、四国の小さな丸海藩という架空の国での物語です。旦那と女中の間に生まれ不遇の幼…

そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティー

ミステリーの古典にして最高傑作と名高い本作、今更初めて読みました。ミステリー好きを自称している訳でもないですが、一応、綾辻行人とか森博嗣とかは好んで読んでいるので、ミステリーの系譜を知りたいと思いました。 今では当たり前の様になった舞台設定…

橋ものがたり/藤沢周平

巨匠、藤沢周平による橋が主題の歴史小説です。なるほど、橋というのは川を渡る時に必ず通る道、なので周辺の人間が必ず寄るところであるし、常に人が行き交う交流の場なのです。当然そこには人々の出会いや別れを巡るいろんな想いが刻まれています。 この本…

女奴隷は夢を見ない/大石圭

光文社のフェア『こころを紡ぐ物語たち。』として売り出されておりました。タイトルからしてエログロの要素がありそうで、しかもこころを紡ぐくらいの感動があるとすれば、読まない手はありません。 2日間で読めました。タイトル通り、女性が奴隷として売ら…

砂の女/安部公房

50年前以上の作品です。没後20年で特集されていたので、つい手に取ってしまいました。さすが文学史で語り継がれているだけのことはありました。名作です。 SAW,CUBE,嘘神などと同じジャンル、いわゆるソリッドシチュエーションホラーの源流と言える作品か…

草祭

ホラー3冊目。ホラー界のファンタジスタ恒川光太郎の作品。 『雷の季節の終わりに』を読んで以来、恒川先生の紡ぎ出す静かで美しくも残酷な世界観に心奪われています。 この本は、”美しい山奥”にある”美奥”という街の手前、中、奥、時間軸としては今、過去…

おがみむし

『姉飼』を生み出したエログロホラー界の巨人、遠藤徹先生のホラー小説。 と思いきや、志向はホラーではなく、読書体験の解体である、ようです。読んでいると頭が狂ってくるのが分かります。『ドグラ・マグラ』以上の奇書です。 巻末の解説にもあるのですが…

お初の繭

去年のGWはインド旅行でしたが、一昨年のGWはホラー小説三昧だったことを思い出し、今年もまとめ買いして読みました。 一つ目、『お初の繭』。第17回日本ホラー小説大賞受賞作です。 貧村で生まれた主人公お初とその幼なじみ達は、家族のために製糸工場に…

封印再度/森博嗣

森博嗣のS&Mシリーズ第5作目。前作を読んだのは大学生のときなので、このブログを始めるもっと前です、実に5年ぶりくらいでしょうか。森博嗣先生の本は外れがないので、具体的に読みたいものがないけど、何か面白いもの読みたいってときにうってつけです。…

痛いってなんだろう『何者』/朝井リョウ

第148回直木賞を受賞した作品です。『桐島、部活やめるってよ』の朝井リョウが書いてます。 『桐島、部活やめるってよ』は、確かに学校に存在する部活ヒエラルキーを巡る違和感と不条理を描いた作品でしたが、本作品も同じ様に大学時代、確かに感じた、あ…

女子が男子に読んでほしい小説『陽だまりの彼女』/越谷オサム

いま、この本が女子が男子に読んでほしい小説第一位らしいです。大どんでん返しの後、究極のハッピーエンドへ到達する、完全無欠の恋愛小説、とめちゃくちゃ大風呂敷で宣伝され、さらに松本潤と上野樹里で映画化されるっていうじゃないですか。これは読まな…

そして輝く『ワイルド・ソウル(下)』/垣根涼介

あっという間に読み終えました。物語に勢いがあるので、その流れに追いつこうと夢中になっているうちに読み終えておりました。 上巻では移住先での地獄のような日々が多く描かれていましたが、下巻は彼らの復讐劇が中心なのでサスペンス、ラブストーリー色が…

眠れなくなるほどの面白本『ワイルド・ソウル(上)』/垣根涼介

久しぶりに夜寝るのも惜しいほどの面白い本と出会えました。垣根涼介の『ワイルドソウル』!! 戦後、日本政府が進めた中南米諸国への移民政策の暗部を抉る社会派かつエンターテインメント性も兼ね備えた小説です。 当時の日本政府は、田舎の農村部を中心と…

知らずに読むと後悔するホラー小説『魔性の子』/小野不由美

新潮社で特設サイトが作られたり、ダ・ヴィンチで特集を組まれたりと、何かと話題の小野不由美の『十二国記シリーズ』。今まで全然触れていないので、最初から追いかけることにしました。 シリーズの始まりは、この『魔性の子』です。ファンタジーかと思って…

白痴

本棚を片付けようシリーズです。他の本と併読していたとは言え、読み終えるのに3ヶ月はかかりました。ドストエフスキーの長編作『白痴』です。上下巻でおよそ1400ページ。しかも、余白ほとんどなしでビッチリ文字が詰まっています。もう、読みにくいのなん…

虐殺器官

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)/早川書房 ¥756 Amazon.co.jp 名前からして、スプラッター系ホラー小説かと思ったのですが、SF小説でした。 舞台は近未来。主人公は政府系暗殺機関に勤めるアメリカ人。9.11以後、インドで核戦争が起き、サラエボに核が落ち、…

歓喜の仔

歓喜の仔 上巻/幻冬舎 ¥1,575 Amazon.co.jp 歓喜の仔 下巻/幻冬舎 ¥1,575 Amazon.co.jp 『永遠の仔』の衝撃は今でも忘れられません。あれほど胸を締め付けられた小説はなかったと言って良いでしょう。その後の、『悼む人』も読みましたが、永遠の仔には到…

女たちのジハード

女たちのジハード (集英社文庫)/集英社 ¥740Amazon.co.jp 実家でやることなくて本棚からひっぱりだしたこの本。 直木賞受賞作品らしいのですが、軽くて非常に読みやすく、分厚いけど二日で読めちゃいました。 舞台は15年前なので、いまよりも女性の社会的立…

羊をめぐる冒険

羊をめぐる冒険/講談社 ¥1,995 Amazon.co.jp 入院中に病院の図書館にあったので読んでみました。 病院には本を何冊か持っていったのですが、難しい本ばかりで全く読む気にならず、小説に頼ることにしたのです。 羊をめぐる冒険の世界観は、諦観とファンタジ…

同期

同期 (講談社文庫)/講談社 ¥780Amazon.co.jp 話題の警察小説。 警察が扱うのは事件なんだから、警察の周りは常にドラマに覆われているということですね。その意味で、警察小説って、ちょっとずるい分野なんじゃないかと思います。それだけで小説になる分野…

A Second Wind

A Second Wind/アチーブメント出版 ¥1,365Amazon.co.jp 映画『最強の二人』の原作本です。 映画があまりに素晴らしい出来で、登場人物に感情移入し過ぎたので、エンディングのテロップが気になったのです。 フィリップは再婚し、子供が二人いる ドリスも結…

下町ロケット

下町ロケット/小学館 ¥1,785Amazon.co.jp 企業小説を書かせたらぴか一の池井戸潤先生のちょっと前の作品で、直木賞を受賞しています。 主人公はロケット開発の研究を挫折し、親の町工場を継いだ佃航平。 従業員200人の中小企業だが、技術力だけは自信が…

モンスター

モンスター (幻冬舎文庫)/幻冬舎 ¥760Amazon.co.jp 今のとこ外れなしの百田先生の作品。 主人公はかつてその醜い容姿ゆえに不遇の青春時代を過ごした女性。 自らの手で美を勝ち取った現在の彼女が過去の凄惨な日々を思い出す形式で物語は進む。 男は多少見…

壊れた少女を拾ったので

壊れた少女を拾ったので (角川ホラー文庫)/角川書店 ¥540Amazon.co.jp 『姉飼』を描いた変態紳士、遠藤先生のホラー短編集。 弁頭屋 弁当の当を頭って時にして、頭の中に詰め込むのはどうだろう、という思い付きだけで描いた話。ほんとその思いつきのグロさ…

惨劇アルバム

惨劇アルバム (光文社文庫)/光文社 ¥650Amazon.co.jp 引き続き小林先生。 物語は短編に分かれているのだけど、どれも一つの家族をめぐるお話。 娘、母、息子、祖父、父をめぐる異常な世界が展開されていく。 幸福な眺望 何もかもうまくいって幸せ全開のOL。…

セピア色の凄惨

セピア色の凄惨 (光文社文庫)/光文社 ¥500Amazon.co.jp なかなか見つからなかった光文社文庫の小林泰三先生の本。 この前、梅田のジュンク堂でふらふらしていたら偶然見つけたので即買い。 物語は依頼人が探偵にレイという女性を探してほしいと頼むところか…

影法師

影法師 (講談社文庫)/講談社 ¥680Amazon.co.jp 8月初旬に向けた試験勉強のせいで、全然本を読んでいません。というか読んでいる場合じゃないのだけど、それでも、なんとなく手を伸ばしてしまい、一度手に取ったら読み終えるまで話さない魔力がこの本にはあ…

人造救世主 アドルフ・クローン

人造救世主 アドルフ・クローン (角川ホラー文庫)/小林 泰三 ¥660Amazon.co.jp 過去と現在が行き交う物語構成。どうして主人公ヴォルフは英雄になろうと思ったのか、どうして戦うのか、その理由が明かされる。 結構、コテコテの展開で、最後は「ソードマス…

人造救世主 ギニー・ピッグス

人造救世主 ギニー・ピッグス (角川ホラー文庫)/小林 泰三 ¥540Amazon.co.jp 1巻からページをめくる手が止まらない、どんどん読み進めてしまう。 敵側からの闘いの描写と、味方側の描写両方を描くことで、謎が解明される手法は面白い。どうして、相手はそん…

人造救世主

人造救世主 (角川ホラー文庫)/小林 泰三 ¥540Amazon.co.jp 小林泰三大先生の長編小説。今までのとは毛色が違って、超人バトルものだ。グロはあまりないが、怜悧で透徹な論理の世界は健在。 相手の超能力を論理的に分析する描写は、いままでのバトル漫画にな…

深夜特急6

深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)/沢木 耕太郎 ¥460Amazon.co.jp インド旅行の最終日に読み終わった。 舞台はヨーロッパ、沢木青年が生き生きしているのがわかる。ローマ、マドリードというのはかくも陽気で旅行者に優しいのか。 バス停で困…

人間の証明

人間の証明 (角川文庫)/森村 誠一 ¥700Amazon.co.jp 森村誠一の最大のヒット作『人間の証明』を読んだ。荘厳で深遠な雰囲気のあるタイトルに魅かれたのである。 しかも、ミステリーである。期待は膨らむばかりである。 独りの黒人が東京のホテルで朽ち果て…

深夜特急5

深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)/沢木 耕太郎 ¥460Amazon.co.jp 自らの身の丈を知る旅から、一つの物語を結ぶ旅へと脱皮していく5巻。一人の画家を巡って、繰り広げられた愛の物語が、一人の旅人によって掘り起こされ、解放される・・・。…

粘膜戦士

粘膜戦士 (角川ホラー文庫)/飴村 行 ¥620Amazon.co.jp 粘膜シリーズ待望の第4弾!なんとなく3部作かと思ったけど、これからも粘膜ワールドはその菌糸を広げていく様子である。 本作は粘膜初の短編集。それぞれ、微妙にいままでの粘膜ワールドと関連してい…