「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

人文科学

暇と退屈の倫理学/國分功一郎

この本は、最高に面白いです。早くも2014年最高の読書体験をしてしまったかもしれません。 暇と退屈が人生において、どれだけ重大な問題をはらんでいるかを徹底的に突き詰めて、考えます。人間は暇と退屈を恐れる。それも尋常じゃない仕方で。 暇と退屈に対…

銃・病原菌・鉄(下)/ジャレド・ダイアモンド

下巻です。 p19 まったくゼロの状態から文字システムを考察することは、既存のシステムで使われているものを拝借するのに比べ、比較にならないほど難しい。発話、つまり、コミュニケーションの目的で人間が発する一連の音素を最初に文字で表そうとした人は…

銃・病原菌・鉄(上)/ジャレド・ダイアモンド

ピュリッツァー賞、朝日新聞『ゼロ年代の50冊』一位を受賞した超有名な本です。学術書とは言え、非常に平易な文章で読みやすく、問題提起も単純明快、世の中の見方をがらっとかえるエッセンスが満載、さすがの一冊です。 この本のテーマはずばり 南北アメ…

不要家族/土屋賢二

ついにお茶の水大学から退官したツチヤ先生のエッセイ集です。大学を後にした変わった事は助手ネタが減り、知り合いの三浦勇夫先生のネタが増えたこと、体調不良ネタ、病院ネタ、老化ネタが増え、同じ話を言葉を何度も使用するようになったことでしょう。(…

『大衆の反逆』/オルテガ  への反逆

人文系、とくに政治系の学部学科を出た人なら、誰しも一度は耳にしたことがあるであろうオルテガの『大衆の反逆』を読みました。内田先生の『知に働けば蔵が建つ』に取り上げられていて、興味を持ち、購入した本でした。 有名な本ですが、今現在でも汎用可能…

陰謀論には気をつけろ!『街場の憂国論/内田樹』

読み過ぎです。っていうか内田先生が本を出し過ぎなのです。 ただし、本書の内容はほとんどブログや雑誌に発表したものの再録なので、文章だけを読みたいのなら買う必要のないものです。内田先生の本をどうしても本棚に飾っておきたいという熱狂的ファン(私…

私による『内田樹による内田樹/内田樹』

内田先生が今までに刊行した本をご自身で紹介する本です。その時にどんな気持ちで書いたか、今ではどんな意味を持っているのかたっぷり文字数を使っての紹介で、もはや一冊の内容を含んだ作品になっています。これが非常に面白い。 p75 彼らの人物判断はそ…

大人のいない国/内田樹・鷲田清一

内田先生の対談とエッセイが乗っています。これは、と思った箇所を抜粋します。 p24鷲田 会社っていうのは入ったら誰でも出来る仕事しかさせてもらえない。どこの馬の骨だかわからない人に、その人しかできないようなことをさせるなんて、そんなリスキーな…

修業論/内田樹

内田先生の新刊、新書です。メディア論や教育論は「街場の」がつくのに、今回はガチの『修業論』です。メディア学や教育学は専門ではないけど、武道は専門だからでしょうか。 本書は4章に分かれています。1、修業論、2、身体と瞑想、3、現代における身体…

脱グローバル論 日本の未来のつくりかた

内田先生の新刊です。元大阪市長の平松邦夫さんが開いた4回のシンポジウムの記録です。内田先生の他のパネリストには、盟友、平川克美、哲学者、中島岳志、小田島隆、高木新平、イケダハヤト、と、はてなブックマークをチェックしている人なら大抵聞いたこ…

大数学者の軌跡を辿れる『数学ガール フェルマーの最終定理』

数学ガール2作目です。 今回から、主人公の姪であるユーリも仲間に加わり、数学ワールドが萌えで満たされます。この姪っ子の語尾が「にゃ」になってるのも、明らかに狙い過ぎて不気味ですが、内容は相変わらず分かりやすく面白かったです。 サイモン・シン…

見晴らしのいい密室/小林泰三

小林泰三先生の最新作です。 相変わらず論理をこねくり回した独自の世界観ですが、一つ一つは小ぶりな印象。 『酸歩する男』ほどの衝撃には出会えませんでした。 これといって特筆したい物語もありません。小林先生ファンなら読むべきですが、導入編としては…

評価と贈与の経済学/内田樹、岡田斗司夫

また内田先生の本ばかり読んでいます。面白いので、ついつい読み進めてしまうのです。今回も対談本です。評価経済の提唱者として話題になった岡田斗司夫さんと。”デブだったけど痩せた人”くらいの認識しかなかったのですが、オタク界では有名な人らしく、な…

本当の大人の作法 価値観再生道場

内田先生、名越康文さん、橋口いくよさんによる鼎談集です。割合的には名越さんが喋っている内容が多い様な気がしました。私は内田先生のファンなので、内田先生の意見を読みたかったのですが、割合はそんなに多くありません。ただ、普段の内田先生の本では…

内田さんに聞いてみた「正しいオヤジ」になる方法/木村政雄vs.内田樹

軽くて読みやすい上に、面白い知見も多分に含まれていて、良本でした。 「正しいオヤジ」になる方法について書かれた本ではなく、それを『内田さんに聞いてみた』って言うところがポイントでした。内田先生は家父長制度の絶滅を予期しているので、木村さんが…

夜と霧

この本に書かれている内容は地獄だ。 童話に描かれる教訓としての地獄ではない。芸術として描かれる神話としての地獄でもない。地獄とは、いま、ここ、わたしが生きるこの世界にある地獄だ。 論理と合理性からシステマチックに生産される苦痛と殺戮。そこに…

論より譲歩

論より譲歩 (文春文庫)/文藝春秋 ¥550 Amazon.co.jp 土屋センセイの最新刊。 絶賛書店にて売れ残り中だったので、慈悲の心で買い物カゴに入れることにしました。こうやって現世で徳を積むことで、極楽浄土への道が開かれたと思うと、買ったことの後悔が少し…

考えるヒント

考えるヒント (文春文庫)/文藝春秋 ¥590Amazon.co.jp 日本を代表する評論家、小林秀雄のエッセイ集です。 昭和30年台に連載されていた内容なので、言葉遣いも当時の評論家らしく、仰々しい。 その言葉遣いと知性の跳躍が超人的過ぎて、凡人には理解できな…

入門!論理学

入門!論理学 (中公新書)/中央公論新社 ¥777Amazon.co.jp 本棚の肥やしになっている本を片付けていこうプロジェクト1弾! 大学3年生にくらいに買ったと思われる本書。いまさら読んでみました。 ちまたにあふれる「仕事に使えるロジカルシンキング」といっ…

他者と死者

他者と死者―ラカンによるレヴィナス/海鳥社 ¥2,625Amazon.co.jp 卒論のとき、すこし読んだこの本。内容は全く覚えていませんでしたが、入院中に読み終えました。 病院の中で死者ってタイトルについている本を置いておくのも気が引けましたが、飽くまでも死…

昭和のエートス

昭和のエートス (文春文庫)/文藝春秋 ¥710Amazon.co.jp いっつも内田樹の本読んでるね、と周りから突っ込まれるようになってきました。 この本は内田先生がいつもいっている教育論(教育に市場原理を持ち込むな)、労働論(労働とは贈与である)がちりばめ…

日本の文脈

日本の文脈/角川書店(角川グループパブリッシング) ¥1,680Amazon.co.jp 対談集ってあまり情報量が多くないので、自分では買わないのですが、角川書店の株主優待で贈呈されたので読みました。 内田樹先生は本ほとんど網羅しているのでよく知っているのですが…

恋するJポップ 平成における恋愛のディスクール

恋するJポップ―平成における恋愛のディスクール/冬弓舎 ¥1,890Amazon.co.jp 内田先生の本で紹介されていたので、読んでみました。 著者の難波江和英さんと言う人は、内田先生と同じ大学で教授をされている方で、内田先生と共著も出しています。「現代思想の…

街場の文体論

街場の文体論/ミシマ社 ¥1,680Amazon.co.jp 内田先生による「クリエィティブライティング」の授業を採録したもの。 内田先生の本はほとんど読んできたけど、授業はうけたことがないので、どんな面白い授業をやるのかと興味シンシンで読みました。 ある事情…

不死のワンダーランド

不死のワンダーランド―戦争の世紀を超えて (講談社学術文庫)/講談社 ¥959Amazon.co.jp またまた西谷修。かなり前に、アマゾンで西谷修の本ばかり衝動買いして、それが溜まっていたものです。 これで最後!不死のワンダーランド! この本のテーマは「死」。…

アフリカ 苦悩する大陸

アフリカ 苦悩する大陸/東洋経済新報社 ¥2,310Amazon.co.jp なぜアフリカが発展しないのかシリーズ2冊目。 前冊の『貧困の光景』が人間の生活に焦点をあてたものとすると、この本は政治経済のシステムの欠陥を俯瞰的に考察したもの。 なぜ、この国のこの政…

教授の異常な弁解

教授の異常な弁解 (文春文庫)/土屋 賢二 ¥530Amazon.co.jp 相変わらずどうでもいいコラム集だった。土屋先生の本はもう17冊にもなり、鍋敷き、下敷き、敷布団、最近は何でもかんでもモノの下に置いており(コースター、洗剤置きなど)さすがに上に置くもの…

夜の鼓動にふれる 戦争論講義

夜の鼓動にふれる―戦争論講義/西谷 修 ¥2,415Amazon.co.jp フランス系哲学者、西谷修先生の東京大学の一般教養「現代思想」の講義を収録した本。 本講義は高校を卒業したばかりの大学1,2年生を想定して組み立てられているので、思想に対しての予備知識なし…

貧困の光景

貧困の光景 (新潮文庫)/曽野 綾子 ¥452Amazon.co.jp なぜアフリカ大陸には急速な経済発展中の「途上国」が現れないのだろう、とふと思い、アフリカに関する本を読んでみたくなった。 この本は貧困がテーマなのでアフリカだけでなく、南アメリカやインドの描…

街場の読書論

街場の読書論/内田樹 ¥1,680Amazon.co.jp 手元に本がないと電車に乗れない、トイレに行けない、これを活字中毒というだろうか。いや、音楽があれば活字がなくても平気だから活字中毒ではない。何も見ない、聞かないでいることが、怖い。なにこれ、貧乏症? …