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「何もない」がある

音楽と本について書きます。日々考えたくだらないことも。

日曜日と月曜日のこと

日記

その日の日曜日は妻が地元の友達のところへ遊びに行く予定だった。


僕は妻のために新幹線のグリーン席を予約してあげた。
出張でたまったポイントを使っただけなので、お金はかからない。


妻は午前10時に元気に出かけていった。


僕は音楽スタジオに出かけ、ドラムの練習をする。練習中に妻から電話がかかってくる「せっかく新幹線で来たのに、自分たちが遅れるとかあり得ない」電話の向こうで妻が猛烈に怒っていた。


スタジオの個人練習は1時間900円、お金はたいしたことないが、練習時間が1分1秒惜しい。結局、怒っている妻をなだめるのに10分費やすことになった。10分あれば通し練習が2回は出来たのになと思う。


午後からジムに行き、ウェイトトレーニング&水泳。休日に身体を鍛えると最高に気持ちがいい。一気に身体が軽くなったようだ。


夕飯の材料を買って家に帰る。家に帰ると洗濯機を回し、風呂と洗面台を洗い、トイレ掃除をし、リビングに掃除機をかける。

夕方になり、犬の散歩に行く。昨夜の雨で公園の原っぱが湿っており、犬同士でじゃれあうたびに白い毛が汚れていく。出来るだけしたくなかったが、今日はシャンプーするしかなさそうだ。


1時間の散歩を終えた帰り道またぽつぽつ雨が降り始めた。僕は犬をひっぱって、急いで家に駆け込む。犬の身体がべたべたなので、ベランダから17キロの身体を抱えて、そのままお風呂場に直行だ。


犬は暴れまわることもなく、静かに洗わせてくれた。念入りに泥を落とし、タオルでマッサージをしながら、ドライヤーを充てる。


ここからようやく夕飯の支度。無性に台湾まぜそばが食べたかったので、中華めん、ニラ、ネギ、豚ひき肉でお店の味を再現しようと試みる。


19時に妻が帰ってきて、台湾まぜそばを食卓に出す。妻は嬉しそうに平らげた。



次の日、朝から5つ打ち合わせをこなし19時からバンドメンバーとスタジオ練習の予定だった。スタジオに向かう電車内で妻からのLINEに気づく。


パートを終えて家に帰ったら、犬が暴れまわって部屋がめちゃくちゃ。
しかもベランダの鍵があけっぱなしなんですけど
昨日からってこと?
あのさぁ、ほんとに怒るよ
わかってないね、ほんと
無神経すぎる
むし?
あそ


散歩のあとそのまま担いで風呂場に行ったから忘れてた、ごめんと僕が言う。


必ず締めて
あたりまえ
ほんと部屋片づけてて、窓少しあいてて
はー?ってなるでしょ


でもベランダから外に出るまで鍵が二つあるから防犯上は大丈夫でしょ。しかも散歩中はここあけておいてるよね、と僕が言う


それは散歩のときのはなし
じゃあ毎回締める?
大変でしょ?


ごめんねと僕が言う


いや
あやまられても
ほんと
ドラムっていーね
はいはい
いってらっしゃい
この後散歩最悪だわ


僕は妻のLineを無視して、スタジオで練習をした。
家に帰ったが僕は絶対に謝らなかった。その日はリビングで寝た。


次の日はカチカチの身体で会社に行き、朝から6つの打合せをこなした。

幸福な朝食

日記

先週は月曜日から金曜日まで働いた後、土曜日も組合の会合があった。休みは日曜日だけ。


日曜日、朝7:00に起きて犬のトイレを掃除する。


洗濯物が溜まっていたので、洗濯機に放り込む。乾燥までやってしまうと縮む服が紛れていたので、洗濯までのコースにして、洗濯が終わった後、その服は干して乾かすことにする。

冷蔵庫にお茶がなかったので、お茶を煮出す。


昨夜、妻が食べ散らかしたクッキーとポテトチップスの袋をパントリーに戻す。


君の名は。」のサントラを流しながら、洗面台の掃除をする。

犬の遊び道具とタオルがよだれまみれで異臭を放っていたので、べランドの流しで手洗いして物干し竿に干す。

8:30に妻が起きる。洗濯機を見て「ワンピースがしわだらけになる、まえ職場で自分の服だけしわだらけで恥ずかしかった」と騒ぐ。僕は「だから乾燥はしてないよ。ワンピースは外に干そう」と言う。ワンピースを手渡すと、「そこに置いておいて」と強い語気で言う。僕は残りの洗濯物を畳む。


お茶を弱火で沸かしているのを見て、「そんな弱火ではどんどん冷めていって、いつまでもお茶が出来ないよ」と言う。僕は「一回沸騰させてから、今は弱火にしてるんだよ」と言う。妻は「うちの鍋は弱火ではどんどん冷めていくんだよ」と語気を強めて中火にする。僕はそんなわけがないと思いながら、何も口に出さない。


CDコンポの前に無造作に置かれたCDケースと歌詞カードを見て、「また出しっぱなし!あたしが毎回片づけているんだよ」と語気を荒げる。僕は「ごめん」と言う。


外に干してあるタオルを見て妻は「タオルの干し方がみっともない。これでは外から見て恥ずかしい」と言う。僕はただ普通に干してあるだけなのにと思いながら、何も口に出さない。



「そういえばお義母さんが来るっていう話、何日にくるか聞いてよ」と妻が言う。「え、ずいぶん先の話じゃなかったっけ?」と僕が言う。


「10月って言ったじゃん、ほんと私の話何も聞いてないよね、あなたのお義母さんなんだから、あなたがちゃんと話してよ」と妻が言う。「年末って言ってたような気がしたんだよ。でも、この件は父さんの仕事がどうなるか次第だから、俺には内緒ってことじゃなかった?」と僕が言う。


「そんなの知らないふりして、予定を聴けばいいじゃない。あなたいつも私が居ない土曜日の午前中に電話してるんでしょ」と声を荒げる。「いや、電話なんかしないよ。用もないのに俺から電話なんてしたことないよ」と僕は言う。「電話してるよ!なんで!?なのになんで今は電話できないなんていうの!?あなたのお義母さんでしょ!?」と妻がわめく。


たしかに土曜日の昼、僕がドラムの練習を終えた帰り、母から電話がかかってくることがある。でも僕から電話をした記憶はない。僕は何の名目で電話しようかと考えながら、トイレを掃除する。

妻は朝食を食べに出かけるために化粧をしている。「またそうやって黙って。もう知らない」と妻が言う。



僕は父の様態を気遣うふりをして母に電話する。「そういえば10月中にそっちに行くかも。9月6日の結果次第だね」と母が言う。妻がようやく機嫌を治す。



サンマルクで2人で1100円の朝食を買い、妻が言う「今朝はなんかイライラしてたの、ごめんね」



僕はその日一日、笑うことも怒ることもなかった。

HARD THINGS / ベン・ホロウィッツ

実はこの本、昨年、先輩から借りてざーっと読んだことがありました。

 

 

HARD THINGS

HARD THINGS

 

 

でも、その当時はあまりに自分の境遇とかけ離れており、『何の参考にもならんわ』と感じ、読書メモを書く気さえ起きなかった本です。スタートアップ経営者が直面した難題なんか、言われたことだけ淡々と効率よくこなしていくだけの若手サラリーマンには何も関連性もなかったのです。

 

 

 

あれから一年経ちました。

 

 

いま、新規事業立ち上げに奔走している日々の中、何でこんなことになるんだ、という事態に常にさらされています。一緒に始めたパートナーから訴えると脅される、法務部から1ミリのリスクも取るなと念押しされる、売り先からこんなサービス絶対に認めないと反対される、買先からはそんなサービス絶対に続けられないと断られる、などなど。波乱万丈の毎日です。

 

 

こんな事態の中で、『上司を説得出来る資料の作り方』とか『論理思考のすすめ』とか、そんな小手先の本を読んでも何も響かない。もっと包括的な、この事態全てに立ち向かえるような何かが欲しい。何が起こるから分からない状況の中で、もうダメだと思ったときにどうしたら良いかが知りたい。

 

 

でも、ビジネスの中でこれをやったら絶対大丈夫なんていう万能薬は存在しません。当たり前ですが。なのでこの本はあなたが苦闘している無理難題に対する処方箋にはならないと思います。でも、苦闘しているあなたにぜひ読んでほしい。

 

この本を読むと、みんな大変な事態を乗り越えてきたんだということだけは分かります。私が一番欲しかったのは、無理難題の解決策ではなく、無理難題に立ち向かっていける勇気だったのです。

 

 

人生は苦闘である。カールマルクスの言葉。

 

 

世界史を塗り替えるほどの影響力を持った天才マルクスがそういうんだから、それはそうなんでしょう。人生は苦闘です。新ビジネスの創出は苦闘です。一歩歩けば四方向から矢が飛んできます。それをいなして、次の一歩。また矢が飛んできては、打ち返す。全ての矢から逃げることは出来ません。もう全身血だらけです。満身創痍。気力も朽ち果てた。なんでこんなことやってんだ。誰が望んだんだ?自問自答するけども、残念ながら...答えは『他ならぬ私』なのです。私はこれをやりたいのです。血だらけだけど、やりたいのです。なぜかはわからないけれどやりたいのです。

 

なぜかわからないけど自分から苦闘の只中でもがいている、ということは、もうその苦闘を愛し始めているのかもしれませんね。

 

苦闘しているのは一人じゃないと思うと、楽になる、嬉しくなる、ということは、人間て、みんなで苦闘することが好きなのかな。

 

誰も助けてくれない。誰にも理解されない。自分だけの問題で苦闘している人々に捧げる。ビジネスの新しい聖典です。

 

 

 

 

純愛映画の最高峰『君の名は。』

映画

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君の名は。』を観ました。

ちょっとネタバレしますので、見ていない人は注意してください。


泣きました。

そのストーリー展開にではなく、その風景の美しさにではなく、その状況を盛り立てる音楽にでもない。ただ、その純愛に涙したのです。


確かにストーリーも素晴らしい。よくある入れ替わりものに一ひねり加えていて、展開を飽きさせない。


風景・作画も凄まじい。光源と感情の変化が緻密に連動している。見ている人の感情の変化が風景の移り変わりによって増幅させられる。


音楽も完璧。静かすぎるのでもなく、ノリノリ過ぎるのでもない。現実的過ぎる訳でもSF過ぎる訳でもない。この世界観のための音楽そのものだ。


これだけでも100点であることに間違いない。


でも、それらを全て飲みこんでしまうほどの感動が、この映画にはある。


君の名は。』というタイトル通り、名は大切な意味を持ちます。名はその人そのものと言えるかもしれない。「君の名は」というのは文字通り映画の中でのキーワードなのだ。絶対に忘れてはいけないものがある。それが君の名だ。あらがえない力が働いて、僕らの記憶が消されてしまう。そこから逃れる最後のチャンス、一筋の光明が、あの名前を書く、という行動だった。

でも書かなかった。名前とか、入れ替わりとか、タイムラグとか、みんなを救うとか、そんなこと吹き飛ぶくらい、そんなこと忘れてしまうくらい。とにかく伝えたい想いがあった。「スキダ」としか書きようがなかった。


この思いを表現するためにこの映画が作られたとさえ思う。ここまで力強い純愛を見せられたら、もう私はひたすら感動し、唖然とし、涙するしかありません。観たのは3日前ですが、まだ感動が終わりません。


凄い映画があるものだ。絶対に映画館で見た方が良いです。また観たい。

ニュースのなぜ?は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問

人文科学

ニュースの

ニュースの"なぜ?"は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問 (SB新書)

世界情勢を分かりやすく語ることってとても気持ち良いんです。

あぁ、ロシアとウクライナの仲が悪いわけ?それは天然ガスの利権が絡んでるんだよ。
アメリカがイラク戦争に突入したわけ?あぁ、あれは軍事産業の思惑が働いたんだね。


自分だけがクリアカットに世界を説明できる喜び。この万能感を味わうと大人でもなかなか抜け出せなくなってしまいます。でも本当は、そんなに簡単には世の中の動きを説明することはできない。たしかに彼らが語る話も数ある原因の中の一つではあるかもしれない。でも、その一つだけを取り出して世の中をわかったような顔をするのは、大切なものを見失いすぎな気がする。


そんなことを思わせる本です。ある意味、解りやすい。でも、この本を読んで世界史や現在の世界の在り方をわかった気になってはまずい。


国というのは主体ではない。ロシアがとか、アメリカが、と語るのは容易いが、アメリカという主体は存在しない。そこにはアメリカを主導している大統領がおり、国会議員がおり、活動を支える企業があり、彼らを選出した国民がおり、彼らが動くことを「アメリカが動く」と呼んでいるだけだ。そして彼らの行動原理を「資源のため」とか「もともと宗教観が違うから」と一言で片付けて良いものだろうか。


中学生高校生なら良い。世の中の流れをだいたいつかむためには、資源の奪い合いとして世界史を見る、とかユダヤ資本の流れで歴史を追ってみるという作業は面白いかもしれない。でも、大の大人がそんなことで世界をわかった気になってはいけない。


大きな物語を追って満足していてはいけない。世の中はもっと多様で非論理的で拡散的なのだ。


子供向けの本です。大人は読んじゃダメ!

夜明けの街で 東野圭吾

小説

夜明けの街で (角川文庫)

夜明けの街で (角川文庫)

深キョン主演で映画化された不倫ミステリー小説です。優しくも冷たくもない平々凡々なアラフォーサラリーマンがミステリアスなアラサー派遣と不倫の世界にのめりこみます。



なんだかんだいって続きが気になり続けて一気読みでした。正直めっちゃ面白かったです。



恋愛の楽しさを思い出させてくれるし、既婚者が恋愛にのめり込んだ時のめんど臭さも再認識させてくれる良い教科書的小説でした。


既婚者の方は、この本を読んでることを奥さんにバレた時点で「あんた不倫したいの?は?」と吊るし上げに会いますので絶対に家ではカバーをつけて読みましょう。

シン・ゴジラが怖すぎた件

映画

シン・ゴジラを観ました。



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最近のはてな界隈では、どこもかしこもシン・ゴジラの話題で持ちきりです。エヴァQが上映された時も同じ空気感でしたね。様々な考察が出されて、あぁでもねぇ、こうでもねぇと議論が白熱していました。私はこの感じ好きです。


コンテンツが多様化されて、みんな自分の好みにあった楽しみを見つけられる様になったのは良いことだとは思うけど、感動や不満をみんなで共有することも含めてそのコンテンツの魅力だと思うから。みんなが見ている、なんか一言ツッコみたくなる、というだけで、それは面白いコンテンツなんだと思う。そういう意味では国民全員が認めていたスーパーアイドルグループSMAPが解散することはとても残念ですね。彼らのヒットソングは国民だれもが口ずさめたし、ドラマ、映画で見たことない人はいないだろう。みんなで共有できる物語がまた一つ減っていく。ファンの興味はHEYSATJUMPとかKISSMYFOOTとか多様化されたコンテンツに拡散していくのだろうか。それとも嵐に収束されていくのだろうか。


さて、シン・ゴジラ、めっちゃ面白かったです。というか、めっちゃ怖かったです。日本政府中枢が鈍臭いとか、初動に失敗したから被害が拡大したとかそういう問題じゃないくらいゴジラが怖い。ゴジラ対策を指揮したのが最初からアメリカだったら、もっとスムーズに処理できたのかな。ベンチャー企業の様な決断の早い組織だったら、こんなことにならなかったのかな。いやいや、どんな組織でも、ゴジラの圧倒的な暴力の前に、被害をゼロにすることは不可能だったと私は思う。たった一人死ぬのも悲劇だし、家が一つ壊されるだけでもその人にとっては救い難いほどの悲劇なのだ。ゴジラを前に悲劇を回避する術はない。でも、ゴジラは突然、何の前触れも、何の理由もなく、現れては悲劇をまき散らす。ゴジラが何のメタファーなのか私には分からない。地震なのか原発事故なのか、はたまた人災なのか。誰にもわからない。それでもゴジラはいつだって突然やってくる。人間はゴジラがもたらす悲劇を受け入れ、悲劇を押さえる力を行使し、世界を立て直す希望を持ち続けねばならない。人生はゴジラとの闘いなのだ。


あと石原さとみね!彼女の英語が酷い、とか痛いとか言う人がいるけど、いい加減にしてほしい。彼女の英語はうまいよ。確かにネイティブではない。幼少期に英語耳を作った人のそれではない。明らかに。でも、第二外国語として英語を運用している人間の中では偏差値75くらいにうまい。私は商社で働いているので日常的に英語を使うし、右でも左でも英語で電話している声が聞こえる。彼らは英語を使ってビジネスのハードネゴシエーションを行っている。それも5年や10年ではない。おっさんたちは20年も30年も英語を使って仕事をしている。でも、彼らの発音は石原さとみの足元にも及ばない拙いものだ。日本人が聞き取りやすいジャパニーズイングリッシュ。母音が強調されて、LもRもSもTHも区別のない日本語英語。日本人が操る英語なんてそんなもんだし、それでも通じればいいと私は思う。中学高校大学社会人と英語を勉強し続けて、日常的にビジネス英語を使う我々だって、そんなもんだ。それに比べれば石原さとみの英語はベリーワンダフォーだった。これを見て、海外の仕事のオファーくると思うよ、いやマジで。これは私が石原さとみを個人的に好きだから言っている訳ではない。いや、ごめん。それはウソだわ。大好きだわ。可愛いしセクシーだから。身体のラインを強調した衣装も素晴らしい。うん、まぁ、たしかに、ポジショントークかもしれない。私の石原さとみ贔屓は否めない。でも、世間の男の95%は石原さとみのことを愛しているんだから、応援してあげようよ、頼むよ、みんな。




なんて思いながら、家に帰るとうちの小さいゴジラ(グレートピレニーズ)が部屋をめちゃくちゃにしていた。ゴジラとの戦いは続く。